第73章 辞職
「私の省は、ブラックを追い詰めたが、やつはまたしても、もう一歩のところで逃げおおせてしまった!あと、ヒッポグリフの逃亡の話が漏れれば、記事の内容はそれで十分だ。私は物笑いの種になる!さてと...もう行かなければ。魔法省のほうに知らせないと...」
「それで、ディメンターは?学校から、引き上げてくださるのじゃろうな?」
ファッジにアルバスが問う。
「ああ、その通り。連中は出て行かねば。罪もない子どもに、キスを執行しようとするとは、夢にも思わなかった...まったく手におえん...まったくいかん。今夜にもさっさとアズカバンに送り返すよう指示しよう。ドラゴンに校門を護衛させることを考えてはどうだろう」
ファッジが狂ったように指で髪の毛を掻きむしりながら言った。
「ハグリッドが喜ぶことじゃろう」
アルバスの言葉に私は、くすりと笑う。アルバスが、ファッジと病室を出て行くと、マダム・ポンフリーが扉のところに飛んで行って、また鍵を掛けた。
一人で怒ったようにブツブツ言いながら、マダム・ポンフリーは自分の事務室へと戻って行く。病室の向こう端しから、低い呻き声が聞こえてきた。ロンが目を覚ましたのだ。ベッドに起き上がり、頭を掻きながら、周囲を見回している。
「ど...どうしちゃったんだろう?ハリー?僕たちどうしてここに居るの?シリウスはどこだい?ルーピン先生は?何があったの?」
ロンが呻く。
「ハーマイオニー、きみが説明してあげて」
ハリーはそう言って、また少しチョコレートを頬ばった。私はハリー、ロン、ハーマイオニーと共に翌日の昼に、退院することが出来た。しかし、そのとき城にはほとんど誰もいなかった。
うだるような暑さの上、試験が終わったということで、みんなホグズミードに行って、充分に楽しんでいるというわけなのだ。ハリー達とは別れて、私はある場所に向かう。
「やぁ、ユウミ」
ノックをしようとする前に、声をかけられた。
『ルーピン先生、お辞めになったと聞きました』
「そうだね」
私が来たのは、ルーピン先生のところだ。ほとんど荷造りはすんでいる。話し出そうとした私をルーピン先生が止めた。ルーピン先生は、熱心に机の上にある羊皮紙を見ている。
「ハリーが来るよ」
『ハリーが?』
そのとき、ノックの音がした。私が振り向くと確かにハリーがいた。