第73章 辞職
ファッジは怒っているようで、セブルスは逆上している。
「白状しろ、ポッター!いったい、何をした?」
セブルスが怒鳴った。
「スネイプ先生!場所をわきまえていただかないと!」
マダム・ポンフリーが金切り声を上げる。
「スネイプ、まあ、無茶を言うな。扉には鍵が掛かっていた。今見た通り」
そう言ったファッジ。
「こいつらが、ヤツの逃亡に手を貸した。わかっているぞ!」
セブルスは、ハリーとハーマイオニーを指差しながら喚いた。顔は歪み、口からは泡を飛ばして叫んでいる。
「いい加減に静まらんか!馬鹿げたことを言うんじゃない!」
ファッジが大声を出す。
「あなたは、ポッターをご存じない!こいつがやったんだ。わかっている。こいつがやったんだ...」
そう言ったセブルスの声はうわずっていた。
「もう充分じゃろう、セブルス。自分が何を言っているのか、考えてみるがよい。わしが10分前にこの部屋を出たときから、この扉にはずっと鍵が掛かっていたのじゃ。マダム・ポンフリー、この子たちはベッドを離れたかね?」
「もちろん、離れませんわ!校長先生が出て行かれてから、私、ずっとこの子たちと一緒におりました!」
アルバスの問いに、マダム・ポンフリーが眉を吊り上げて答える。
「そうじゃ、セブルス、聞いての通りじゃ。ハリーもハーマイオニーも、同時に2箇所に存在することが出来るというのなら別じゃが。これ以上2人を煩わすことは、何の意味もないと思うがの」
アルバスが落ち着いて言う。煮えたぎらんばかりに興奮したセブルスは、その場に棒立ちになり、まずファッジを、そしてアルバスを睨みつけた。
ファッジは、セブルスの振る舞いに完全にあきれ果てたようだったが、アルバスはメガネの奥でキラキラと目を輝かせている。セブルスは背を向け、音を立ててローブを翻し、病室から嵐のように出て行った。
「あの男、どうも情緒不安定じゃないかね。私があなたの立場なら、ダンブルドア、目を離さないようにするがね」
セブルスの後ろ姿を見つめながら、ファッジが言った。
「いや、不安定なのではない。ただ、ひどく失望して、打ちのめされておるだけじゃ」
静かに言ったアルバス。今度は、ファッジが声を荒げて言う。
「それは、あの男だけではないわ!日刊予言者新聞は、やりたい放題に騒ぎ立てるだろうよ!」