第71章 私達の秘密
ハーマイオニーがこちらを見たため、私は力強く頷く。
「さあ、よく聞くのじゃ。シリウスは、8階のフリットウィック先生の事務所に閉じ込められておる。西塔の右から13番目の窓じゃ。首尾よくことを運べば、君たちは、今夜、一つといわずもっと、罪なき者の命を救うことが出来るじゃろう。ただし、3人とも、忘れるでないぞ。見られてはならん。Ms.グレンジャー、Ms.マーレイ、規則は知っておろうな...どんな危険を冒すのか、君たちは知っておろう...誰にも...見られては...ならんぞ」
アルバスはごく低い声で、しかも、はっきりと言った。それからアルバスは、身体の向きを変えてドアのところまで行ってから振り返る。
「君たちを閉じ込めておこう。今は...真夜中5分前じゃ。Ms.グレンジャー、Ms.マーレイ、3回引っくり返せば良いじゃろう。幸運を祈る」
「幸運を祈る?3回引っくり返す?いったい、何のことだい?僕たちに、何をしろって言うんだい?」
アルバスがドアを閉めたあとで、ハリーが繰り返し言った。しかし、ハーマイオニーはローブの襟のあたりを探っている。そして、中からとても長くて細い金の鎖を引っ張り出した。
「ハリー、こっちに来て。ユウミはどうする?」
ハーマイオニーが急き込んで言う。
『ハーマイオニー、私は自分のでやるわね。それから、私はあなたたちとは別行動するわ。その方がいいと思うの』
ハーマイオニーは、私の体のことを思い出したのかすぐに頷いた。私も自分のローブの裾から、取り出す。そして、ハーマイオニーと顔を見合わせて頷く。私達は、同時に3回ひっくり返した。
暗い病室が溶けるように無くなる。そして、誰もいない玄関ホールに、私達は、並んで立っていた。正面玄関の扉が開いていて、金色の太陽の光りが流れるように石畳の床に射し込んでいる。
「これは...?」
「こっちへ!ユウミも来て!」
そう言ったハーマイオニーは、ハリーの腕を掴み、ホールを横切って箒置き場の前まで連れて行く。それから箒置き場の戸を開け、バケツやモップと一緒のところにハリーを押し込んだ。そのあとで私にも入るように言い、自分も入ってドアを閉めた。
「何が、どうして...いったい何が起こったんだい?」
真っ暗な中で、鎖をハリーの首から外しながら、ハーマイオニーが囁く。