第71章 私達の秘密
「ブラックの言っていることを証明するものは何一つない。君たちの証言だけじゃ...13歳の魔法使いが3人、何を言おうと、誰も納得はせん。あの道路には、シリウスがペティグリューを殺したと証言する目撃者が、たくさんいたのじゃ。わし自身、魔法省に、シリウスがポッターの秘密の守人だったと証言した」
「ルーピン先生が話してくださいます」
どうしても我慢できなかったのか、ハリーが口を挟んだ。
『ハリー。残念だけどそれは無理よ』
「ユウミの言うとおりじゃ。ルーピン先生は、今は森の奥深くにいて、誰にも何も話すことができん。再び人間に戻る頃にはもう遅過ぎるじゃろう。シリウスは、死よりも惨めな状態になっておろう。さらに言うておくが、狼人間は我々の仲間うちでは信用されておらんからの。狼人間が支持したところでほとんど役には立たんじゃろう...それに、ルーピン先生とシリウスは、旧知の仲でもある」
「でも...」
それでも何かを言おうとするハリーに、アルバスが言う。
「よくお聞き、ハリー。もう遅過ぎる。わかるかの?スネイプ先生の語る真相のほうが、君たちの話より説得力があるということを知らねばならん」
「スネイプ先生は、シリウスを憎んでいます。シリウスが自分にくだらない悪戯を仕掛けたというだけで...」
ハーマイオニーが必死で訴えた。私は、くだらないと言えるような悪戯ではなかったと言いたかったが、今はそのときではないと黙っておく。
「シリウスも、無実の人間らしい振る舞いをしなかった。太った婦人を襲った...グリフィンドール寮にナイフを持って押し入った...生きていても、死んでいても、とにかくペティグリューがいなければ、シリウスに対する判決を覆すのは無理というものじゃ」
「でも、ダンブルドア先生は僕たちを信じてくださってます」
「その通りじゃ。しかしわしには、他の人間に真実を悟らせる力はないし、魔法省大臣の決定を覆すことも...」
アルバスの深刻な顔を見たハリーが絶望的だという表情をする。アルバスならなんとかしてくれると思っていたのだろう。
「必要なのは、時間じゃ」
アルバスがゆっくりと言った。そして、明るい青い目がハリーからハーマイオニーへと移る。
「でも...」
ハーマイオニーは何か言い掛けて、そして、ハッと目を丸くした。
「あっ!」