第71章 私達の秘密
いつもの氷のように冷たい感覚が私の身体の芯を貫いた。さっと顔をあげると、数匹のディメンターがいたのだ。
『なんで、ここにも?!』
私は驚きながらも、杖を取り出す。そして、唱えた。
『"エクスペクト・パトローナム(守護霊よ、来たれ)"!』
すると、冷気は徐々になくなり暖かさが戻ってきた。ディメンターが追い払われたのだ。
『ありがとう。もう少し、ここにいてくれる?』
パトローナスであるトラの頭を撫でて伝えると、頷いて私の隣に座る。それから、セブルスが意識を取り戻した。
「体調が悪いのか?大丈夫か?」
セブルスはさっと辺りを見回してから、私の姿を捉えるとすぐにそう言う。私は、自分の胸に当てていた手を降ろし首を振る。
『大丈夫よ、セブルス。それより、ハリー達があっちにいるはずなの』
セブルスは私にここにいるように伝え、行ってしまう。
『ありがとう、もう大丈夫よ』
私はパトローナスに伝えた。そしてみんなを担架にのせて戻ってきたセブルスと一緒に城へと戻ったのだ。医務室に行くとみんながベッドに寝かされる。私は特に何もないからどうやって医務室に残ろうか悩んだが、それを考える必要なかった。
セブルスが私も休ませた方がいいマダム・ポンフリーに言ったためだ。マダム・ポンフリーに言われて、私はベッドに横になった。なんだかんだ言っても疲れていたのか、私は眠ってしまう。
「言語道断...あろうことか...誰も死ななかったことは、奇跡だ...こんなことは前代未聞...いや、まったく、スネイプ、君が居合わせたことは幸運だった」
「恐れ入ります、大臣閣下」
私が起きて聞こえてきたのは、ファッジとセブルスの会話だ。
「マーリン勲章、勲二等。いや、もし私が口添え出来れば、勲一等ものだ」
「まことに有り難いことです、閣下」
「君は、気絶させられたみたいだが、ブラックかね?」
私はドキンとする。セブルスはなんて答えるんだろうか。
「実は...マーレイに...閣下」
「まさか!」
「ブラックが、マーレイに魔法をかけたのです。我輩にはすぐわかりました。マーレイは、成績優秀で先生方からの信頼も厚い。もちろん我輩も良い生徒だと思っております。あんなことをするはずがありません。おそらく、錯乱の呪文でしょうな。後の、3人もかけられていたみたいです」