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愛される少女【HP】

第69章 ムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングズ


『ハリー達より、私の方がいいと思ったの。本当は説得したかったけど...。怪我はしてないわ、気絶しているだけ』

おそらく、いつものセブルスだったなら意図も簡単に防がれていただろう。

「先生を攻撃してしまった...先生を攻撃して...ユウミが防いでくれたけど...ああ、私たち、ものすごい規則破りになるわ...」

ハーマイオニーは、泣きそうな声を出した。ルーピン先生は、縄目を解こうともがいている。シリウスが素早く屈み込んで、縄をほどく。ルーピン先生は立ち上がり、紐が食い込んでいた腕のあたりを擦った。

「ハリー、ありがとう」

「僕、まだあなたを信じるとは言ってません」

ルーピン先生の言葉に、ハリーは反発して言う。

「それでは、君に証拠を見せるときが来たようだ。君...ピーターを渡してくれ。さあ」

そう言ったブラック。ロンは、スキャバーズをますますしっかりと胸に抱き締めた。

「冗談はやめてくれ。スキャバーズなんかに手を下すために、わざわざアズカバンを脱獄したって言うのかい?つまり...」

弱々しく言ったロンは、助けを求めるようにハリーとハーマイオニーを見上げる。それから、疑問をぶつけた。

「いいよ。でも、ペティグリューがネズミに変身できたとしても、ネズミなんて何百万と居るじゃないか...アズカバンに閉じ込められていたのに、どのネズミが自分の探しているネズミかなんて、どうやったらわかるって言うんだい?」

「そうだとも、シリウス。まともな疑問だよ。あいつの居場所を、どうやって見つけ出したんだい?」

ルーピン先生が、シリウスに向かってちょっと眉根をよせる。シリウスは、骨が浮き出るような片方の手をローブに突っ込み、クシャクシャになった紙の切れ端しを取り出す。それから、皺を伸ばしそれを突き出してみんなに見せた。1年前の夏、日刊予言者新聞に載ったロンと家族の写真だ。そしてそこに、ロンの肩の上に、スキャバーズがいた。

「いったい、どうしてこれを?」

雷に打たれたような声でルーピン先生が尋ねた。

「ファッジだ。去年、アズカバンの視察に来たとき、ファッジ大臣がくれた新聞だ。ピーターがそこに居た。一面に...その子の肩に乗って...私には、すぐにわかった...こいつが、変身するのを何回見たと思う?」

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