第69章 ムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングズ
「来い、全員だ。我輩が人狼を引き摺って行こう。ディメンターがこいつにもキスしてくれるかもしれん」
セブルスが指を鳴らすと、ルーピン先生を縛っていた縄目の端がセブルスの手元に飛んで行く。ハリーは我を忘れたかのように飛び出し、たった3歩で部屋を横切ると、次の瞬間にはドアの前を立ち塞いでいた。
「どけ、ポッター。おまえはもう十分規則を破っているんだぞ。我輩が、ここに来ておまえの命を救っていなかったら 」
セブルスが唸って言った。
「ルーピン先生が僕を殺す機会は、この1年に何百回もあったはずだ。僕は先生と2人きりで、何度もディメンター防衛術の訓練を受けていた。もし、先生がブラックの手先だったら、そういうときに僕を殺してしまわなかったのはなぜなんだ?」
「人狼がどんな考え方をするか、我輩に推し量れとでも言うのか。どけ、ポッター」
凄んだセブルス。
「恥を知れ!学生のとき、からかわれたからというだけで、話も聞かないなんて」
ハリーが叫んだ。
「黙れ!我輩に向かってそんな口の利き方は許さん!蛙の子は蛙だな、ポッター!我輩は、今おまえのその首を助けてやったのだ。ひれ伏して感謝するがいい!こいつに殺されれば、自業自得だったろうに!おまえの父親と同じような死に方をしただろうに。ブラックのことで判断を誤ったと認めないとは、親も子も傲慢なものよ...さあ、どくんだ。さもないと、どかせてやる。どくんだ、ポッター!」
セブルスは、ますます狂気じみて叫ぶ。ハリーは、意を決したように杖を構えた。
「「「"エクスペリアームス(武器よ去れ)"!」」」
『"プロテゴ(護れ)!"』
ハリーとロンとハーマイオニーが叫ぶ。私もセブルスを守るために呪文を叫んだ。私はすぐにさっとハリーとセブルスの間に入る。
『スネイプ先生、お願いです、話を聞いてください!』
「どけ、マーレイ!我輩を攻撃するなど!」
私は、杖が自分の手にあるのを確認して叫ぶ。
『スネイプ先生!どうしても!どうしても!話を聞いてほしいんです!お願いです!』
「黙れ!どくんだ、マーレイ!」
もう無理だと思った。説得は不可能だと。だから、私は覚悟を決めて杖を構えて唱えた。
『"ステューピファイ(麻痺せよ)"!』
私の呪文により、気を失ったセブルス。
「「「ユウミ!」」」