第69章 ムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングズ
ロンも、ハリーと同じくらい訳が分からない顔をして、ジタバタもがくスキャバーズを押さえ付けるのに必死になっている。しかし、ハーマイオニーはセブルスのほうにおずおずと一歩踏み出し、とても息を切らした声で言った。
「スネイプ先生...あの...この人たちの言い分を聞いてあげても、害はないのでは、あ、ありませんか?」
「Ms.グレンジャー。君は停学処分を待つ身だ。君も、ポッターも、ウィーズリーも...マーレイも許容されている境界線を越えた。しかも、お尋ね者の殺人鬼や人狼と一緒とは。君も一生に一度くらいは、黙っていたまえ」
吐き出すように言ったスネイプ先生。
「でも、もし...もし、誤解だったら...」
「黙れ、この愚かな娘が!わかりもしないことに、口を出すな!」
セブルスが突然狂ったように、喚き立てた。シリウスの顔に突き付けたままのセブルスの杖先から、火花が数個飛ぶ。ハーマイオニーは黙りこんだ。
「復讐は蜜より甘い。おまえを捕まえるのが我輩であったらと、どんなに願ったことか」
セブルスが囁くようにシリウスに言う。
「また、愚かなことをするのか、セブルス」
憎々しげに言ったシリウス。そして、ロンを顎で差し示してこう言った。
「しかしだ、この子がそのネズミを城まで連れて行くなら...それなら、私はおとなしくついて行くがね...」
「城までかね?そんなに遠くに行く必要はないだろう。柳の木を出たらすぐに、我輩がディメンターを呼べばそれで済む。連中は、ブラック、君を見て喜ぶことだろう...喜びのあまり、キスをするだろう」
セブルスが柔らかく言う。シリウスの顔は僅かに残っていた色さえ消え失せた。
「聞け...最後まで、私の言うことを聞け。ネズミだ...ネズミを見るんだ...」
かすれた声でシリウスが言った。私はそっと自分の杖を取り、手に持つ。セブルスの目には、今まで見たこともない狂気の光りがあった。もはや、理性を失っている目だ。それでも私は一抹の望みをかけて、セブルスの前に進み出た。
『スネイプ先生!話を聞いてください!』
「黙るんだ、マーレイ!」
『お願いです!話を聞きましょう!』
私は必死に懇願する。
「黙れと言っているのが聞こえないのか!ルイスが悲しみますぞ!」
私は、お父さまの名前に黙りこむ。