第69章 ムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングズ
「きちんと予防措置を取りさえすれば、私が学校に来てはいけない理由など無いと、ダンブルドアは言ってくれた...」
ルーピン先生は、ため息をつく。そして、真っ直ぐにハリーを見た。
「何箇月も前に君に言ったと思うが、暴れ柳は、私がホグワーツに入学した年に植えられた。本当を言うと、私がホグワーツに入学したから植えられたのだ。この屋敷は...」
ルーピン先生は、やるせない表情で部屋を見回した。
「...ここに続くトンネルは...私が使うために作られたのだ。1箇月に1度、私は城からこっそり連れ出され、変身するためにここに連れて来られた。私が危険な状態にあるあいだは、誰も私に出会わないようにと、あの木がトンネルの入口に植えられた」
ルーピン先生の声の他に、聞こえるものといえば、スキャバーズが怖がってキーキー啼く声だけだ。
「その頃の私の変身ぶりといったら...それは恐ろしいものだった。狼人間になるのは、とても苦痛に満ちたことだ。噛むべき対象の人間から引き離され、かわりに私は自分を噛み、引っ掻いた。村人は、その騒ぎや叫びを聞いて、とてつもなく荒々しい霊の声だと思った。ダンブルドアは、噂を煽った...今でも、もうこの屋敷が静かになって何年も経つのに、村人は近付こうともしない」
ルーピン先生の話は続く。
「しかし、変身することだけを除けば、人生であんなに幸せだった時期はない。生まれてはじめて友人ができた。3人の素晴らしい友達が。シリウス・ブラック...ピーター・ペティグリュー...それから、言うまでもなく、ハリー、君のお父さんだ...ジェームズ・ポッター。だけど、3人の友人が、私が月に1度姿を消すことに気付かないはずはない。私は、いろいろ言い訳を考えた。母親が病気で、見舞いに家に帰らなければならなかったとか。私の正体を知ったら、途端に私を見捨てるのではないかと、それが怖かったんだ。しかし3人は、ハーマイオニーとユウミ、君達と同じように、本当のことを悟ってしまった。それでも、三人は私を見捨てはしなかった。それどころか、私のためにあることをしてくれた。おかげで変身は辛くないものになったばかりでなく、生涯で最高の時になった。3人ともアニマージをしてくれたんだ」
「僕のお父さんも?」
ハリーは驚いて言った。