第10章 授業2
セブルスは再度周りを見て、前世の記憶通りの演説をはじめた。
「このクラスでは杖を振り回すような馬鹿げたことはやらん。そこで、これでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。フツフツと沸く大鍋、ユラユラと立ち昇る湯気、人の血管の中を這い巡る液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力。諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。我輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし、栄養を醸造し、死にさえ蓋をする方法である。ただし、我輩がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君がまだましであればの話だが」
セブルスは、ウスノロと言ったところでハリーを始めとしたグリフィンドール生を見て言った。そして突然叫んだ。
「ポッター!!」
突然のことに驚いて、肩をびくつかせてしまったが幸い見ている人はいなかった。そしてセブルスは続けて質問をした。
「アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」
記憶通りの質問であった。これはあまりにもハリーが可哀想なので、勉強するように軽く促そうと思っていたが、今まで忘れていたことを後悔した。ハリーは困惑した様子で戸惑っている。しかし唯一ハーマイオニーだけは、手をピンと伸ばし挙手していた。
「わかりません」
「チッチッチッ、有名なだけではどうにもならんらしい」
セブルスはハーマイオニーを無視して言った。そのあとも
「ベアゾール石を見つけてこいと言われたらどこを探すか?」
「わかりません」
「モンクスフードとウルフスベーンの違いは何か?」
「わかりません」
などとのやりとりが続いた。その間、ハーマイオニーはずっと手を上げていたが無視をされていた。スリザリン生のクスクス笑いが響いたが、ここでハリーが反撃に出た。
「ハーマイオニーが分かっていると思いますから、彼女に質問してみたらどうでしょう?」
グリフィンドール生の方から隠せない笑いが響く。セブルスはハーマイオニーをチラリと見るとピシャリと言った。
「座りなさい」
「教えてやろう、ポッター。アスフォデルとニガヨモギを合わせると眠り薬になる…」
セブルスは先程の質問の答えを言うと、ハリーが無礼な態度を取ったとしてグリフィンドールから1点減点した。