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愛される少女【HP】

第68章 猫、ネズミ、犬


「二人とも、どうかしてる」

「馬鹿ばかしい!」

ロンに続いて、ハーマイオニーもかすかに言う。

「ピーター・ペテイグリューは、死んだんだ!こいつが、12年前に殺した!」

ハリーがシリウスを指差すと、シリウスの顔がひきつった。

「殺そうと思った。だが、こざかしいピーターに出し抜かれた...今度は、そうはさせない!」

シリウスが黄色い歯を剥き出して唸ってスキャバーズに襲い掛かり、その勢いでクルックシャンクスは床に投げ出された。折れた脚にブラックの重みがのしかかって、ロンは痛さに叫び声を上げる。

『やめて!離れて!』

私は、シリウスをロンから離そうと押す。それを助けてくれるかのように、ルーピン先生がシリウスに飛び付いて、ロンから引き離しながら叫んだ。

「シリウス、よせ!待ってくれ!そういうやり方をしては駄目だ...みんなにわかって貰わなければ...説明しなければいけない...」

「あとで説明すればいい!」

シリウスは唸りながらルーピン先生を振り払おうとした。片手は、スキャバーズを捕らえようと空を掴み続けている。スキャバーズは、子豚のようにビービー鳴きながら、ロンの顔や首を引っ掻いて逃げようと必死だ。

「みんな...すべてを...知る...権利が...あるんだ!ロンは、あいつをペットにしていたんだ!私にもまだわかってない部分がある!それにハリーだ...シリウス、君はハリーに真実を話す義務がある!」

ルーピン先生はシリウスを押さえようとして息を切らしながら言った。あがくのを止めたシリウス。しかし、その落ち窪んだ目だけはまだスキャバーズを見据えたままだった。ロンの手は、噛みつかれ引っ掻かれて血が出ていたが、スキャバーズをしっかり握り締めている。

「いいだろう。それなら。君がみんなに何とでも話してくれ。ただ、急げよ、リーマス。私を監獄に送り込んだ原因の始末を、今こそ実行したい...」

シリウスはネズミから目を離さずに言った。

「正気じゃないよ。二人とも。もうたくさんだ。僕は出て行くよ」

ロンは声を震わせ、ハリーとハーマイオニーに同意を求めるようにして振り返ってから、ロンは折れていないほうの脚でなんとか立ち上がろうとした。しかしルーピン先生が再び杖を構え、スキャバーズを差し示した。それから、静かに言った。

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