第68章 猫、ネズミ、犬
『ルーピン先生が、ブラックの仲間かはわからない!でも!狼人間だからってなに!ルーピン先生がブラックの仲間かもしれないのと、狼人間だってことは全くの別問題よ!』
私は興奮のあまり息を切らし、片方の目から涙が溢れたのがわかった。しかし、それを気にせずに言葉を続ける。
『それに、さっきから説明をさせてって言ってるじゃない...!本当にハリーの死を祈ってるなら、今ハリーが生きているわけない...。ハリー、ハーマイオニー、ロン。あなたたちはバカじゃないはずよ。冷静になって...話を聞きましょう...』
ハーマイオニーは私の言葉に俯く。ハリーとロンは納得していない様子だ。
「ユウミ、ありがとう...そんなに興奮するとよくない。ロンの隣に座ってなさい」
私はルーピン先生の言葉にコクンと頷いて、ロンから少し距離をとって座った。私が座ったのを確認してから、ハーマイオニーに向かって話し掛けた。
「いつ頃から気付いていたのかね?」
「かなり前から。スネイプ先生のレポートを書いたときから...ユウミもだわ...」
囁くように言ったハーマイオニー。
「スネイプ先生が、お喜びだろう。スネイプ先生は、私の症状が何を意味するのか、誰かに気付いて欲しいと思って、あの宿題を出したんだ。月の満ち欠け図を見て、私の病気が満月と一致することに気付いたんだね?それとも、ボガートが私の前で月に変身するのを見て気付いたのかね?」
「両方よ」
ハーマイオニーが小さな声で言った。ルーピン先生は無理に笑って見せる。
「ハーマイオニー。それにユウミ。君達は、私が今までに出会った君と同年齢の魔女の、誰よりも賢いね」
確か、前世の記憶ではハーマイオニーはここで'私がもう少し賢かったらみんなにあなたのことを話してた'ということを言ったはずだ。しかし、ハーマイオニーは黙っていた。
「ハーマイオニー、なんで話さなかったんだ!みんなに話していたら!」
その代わりのように、ロンがそういった。
「もう、みんな知ってることだ。少なくとも先生方は知っている」
「ダンブルドアは、狼人間と知っていて雇ったっていうのか?正気かよ?」
そう言ったロンは、息を呑む。私はあまりの言い方にロンを睨み付けた。頭では、わかっている。私は事実を知っているが、3人は知らないのだ。