第67章 バックビークの運命
ハリーは、頭を抱えて考え込んだ。
「透明マントさえあれば...」
「どこにあるの?」
ハリーに尋ねるハーマイオニー。ハリーは、隻眼の魔女像の下にある抜け道に置いて来たことを説明した。
「...スネイプ先生が、あの辺でまた僕を見掛けたりしたら、僕、とっても困ったことになる」
「それは、そうだわ。スネイプ先生が見掛けるのが、あなたならね...魔女の背中のコブはどうやって開ければいいの?」
ハーマイオニーは、立ち上がる。
「それは、それは、杖で叩いて"ディセンディウム(降下)"って唱えるんだ。でも...」
ハーマイオニーは、最後まで聞かずにさっさと談話室を横切り、太った婦人の肖像画を開け、姿を消してしまった。
「まさか、取りに行ったんじゃ?」
ロンが、その後ろ姿を見つめる。
『その、まさかだと思うわ』
信じられないという顔をしたロン。15分後、ハーマイオニーは大事そうにたたんだ銀色の透明マントを、ローブの下に入れて現われた。
「ハーマイオニー、最近、どうかしてるんじゃないのか!マルフォイはひっぱたくし、トレローニー先生の授業は飛び出すし...」
ロンが度胆を抜かれたように言うと、ハーマイオニーはちょっと得意げな顔をした。
『私、スネイプ先生に呼ばれているから行くわね』
クレア達と夕食を食べた私は、怪しまれないようにそう言う。セブルスの名前を出したなら、この3人は怪しまないだろうと思ったからだ。
私達4人は、玄関ホールの隅にある誰も居ない小部屋にこっそり隠れ、聞き耳を立てて、みんなが居なくなるのを確かめた。最後の2人組がホールを急ぎ足で横切り、扉が閉まる音を聞いてから、ハーマイオニーは小部屋から首を突き出してドアのあたりを見回す。
「オッケーよ。誰もいないわ...マントを被って...」
ハーマイオニーが囁く。誰にも見えないよう、私達はピッタリくっ付いて歩いた。透明マントに隠れ、抜き足差し足で玄関ホールを横切り、石段を下りて校庭へと出る。太陽はすでに禁じられた森の向こうに沈みかけ、木々の梢が金色に輝いていた。
ハグリッドの小屋に辿り着いて、ドアをノックする。1分ほど、反応がなかった。やっと現われたハグリッドは、青ざめた顔で震えながら、誰が来たのかとそこら中を見回す。ハリーがヒソヒソ声で言った。