第66章 トレローニー先生の予言
木曜の午前中は、闇の魔法に対する防衛術だった。ルーピン先生は、これまで誰も受けたことがないような、独特の試験を出題した。戸外での障害物競走のようなもので、グリンディローが入った深いプールを渡り、レッドキャップがいっぱい潜んでいる穴だらけの場所を横切る。
それから、道に迷わせようと誘うヒンキーパンクをかわして沼地を通り抜け、最後に、古い保管庫を開けて、その中に入り込んでいる新しいボガートと闘うというものだ。私は順調に進んでいき、最後のボガートのいる保管庫の中に入った。バチンという音と共に、前世の私の姿になる。
「お前は、一人だ。独り。孤独だ。病気のお前を誰が必要とする?誰が異物のお前を好いてくれる?みんなの邪魔をしている。足を引っ張るだけだ。それにこれから先、お前のせいで人が死ぬ」
低い、低い声で言い放つ。私は、口に手を当てる。全身が震えだしたのがわかった。
『そ...そんなことない...私は...』
そこまで言って、落ち着くように冷静になれるように自分の腕を擦り、前世の私に杖を向けて唱える。
『"リディクラス"!』
それから、私は飛び出すように保管庫から出た。時間がかかっていたからか、ルーピン先生が心配そうに見ている。私はそれを感じながらも、ルーピン先生の隣にいたハリーに抱きついた。
「ユウミ?!」
ハリーは驚いた声をあげたが、私が震えているのを見てそっと背中を擦ってくれる。
『ごめんなさい、ハリー』
「大丈夫?」
私は笑みを作って、頷く。そして、そこでハリーと一緒にロンとハーマイオニーの様子を見る。ロンは、ヒンキーパンクの前まではうまくやったが、ヒンキーパンクに惑わされて泥沼に腰まで沈んでしまった。ハーマイオニーはすべて完壁にこなし、ボガートがひそむ保管庫まで来たが、1分ほどして叫びながら飛び出してきてしまう。
「ハーマイオニー。どうしたんだい?」
ルーピン先生が驚いて声を掛けた。
「マ、マ、マクゴナガル先生が!先生が、私、全科目落第だって!」
保管庫を指差して絶句したハーマイオニー。ハーマイオニーを落ち着かせるために、しばらく時間が掛かった。ようやくハーマイオニーが落ち着きを取り戻したところで、私はハリー、ロン、ハーマイオニーと連れ立って城へと向かう。ロンは、ハーマイオニーの騒ぎをからかいたいと思ったようだ。