第65章 クィディッチ優勝戦
全員で、アンジェリーナをブロックするつもりのようだ。ハリーは、くるりとファイアボルトの向きを変えると、箒の柄にピッタリ張り付くように身体を屈め、前方めがけて勢いを付けた。それから、まるで弾丸のように、スリザリンチームに突っ込んで行く。
「アアアアアアアーーーッ!」
ファイアボルトが、突っ込んで来るのを見て、スリザリンチームは散り散りになった。アンジェリーナの行く手をさえぎる者がいなくなる。
「アンジェリーナ、ゴール!アンジェリーナ、決めました!グリフィンドールのリード、八十対二十!」
ハリーは、スタンドに真正面から突っ込みそうになったが、空中で急停止し旋回してフィールドの中心へと急いで向きを変えた。ドラコはどうしただろうとドラコを見た私は、息をのむ。ドラコが、勝ち誇った顔で急降下していたのだ。
さっとまたハリーを見ると、ハリーは、ファイアボルトを急いで立て直し降下した。しかし、ドラコがはるかにリードしている。ハリーはどんどんドラコに近づいていく。スリザリンチームのボールが、ハリーめがけてブラッジャーを打ち込む。ハリーは箒の柄にピッタリ身体を伏せた。ハリーは、ドラコの踵まで追いつく......並んだ。
『頑張って、ハリー』
私は祈るように手を組む。ハリーは両手を箒から離し、思いっきり身体を乗り出した。ドラコの手を払いのけ、そして。
「やった!」
ハリーは、急降下から反転し、空中高く手を突き出す。競技場は爆発したかのようになった。私は、クレア達とハグしあい大喜びする。ハリーは、観衆の上を高々と飛ぶ。そのハリーのほうにオリバーが飛んでいく。涙でほとんど目が見えなくなっているようだ。
ハリーの首を抱き締め、ハリーの肩に顔を埋めて、オリバーは止めどなく泣きに泣いた。フレッドとジョージがハリーは、二度大げさに叩く。それから、アンジェリーナ、アリシア、ケイティが叫んだ。
「「「私たちが優勝よ!優勝杯よ!」」」
腕を絡ませ、抱き合い、もつれ合い、声をからして叫びながら、グリフィンドールチームは地上に向かって降下して行く。
真紅の応援団が柵を乗り越えて、波のようにグラウンドになだれ込んだ。選手は、雨あられと背中を叩かれている。次の瞬間、ハリーも他の選手も、みんなに肩車された。私は、それを少し離れたところで見守る。隣には、クレア、ミア、エイミーもいる。