第65章 クィディッチ優勝戦
マダム・フーチがボールとデリックに向かって叫んだ。そして、アンジェリーナが得点した。六十対十。その直後、フレッドが、ブラッジャーをワリントンにめがけて強打したので、ワリントンは持っていたクァッフルを取り落とした。それをアリシアが奪ってゴール。七十対十。
周りのグリフィンドール応援団が声をからして叫ぶ。グリフィンドールが六十点のリードとなったので、ここでもしハリーがスニッチを掴めば、優勝杯はいただきとなったためだ。他の選手より一段高いところで、ドラコに後ろを付け狙われながらフィールドを飛び廻っているハリー。
『見つけたんだわ!』
ハリーは上を見たかと思うと、猛烈な速度を出した。それからハリーは手を伸ばす。ところが、ドラコが前に身体を乗り出して、ファイアボルトの尾を握り締め引っ張ったため、前に進めなくなった。ハリーはドラコを殴ろうとする様子を見せたが、届かない。その間に、スニッチは消えてしまった。
「ペナルティー!グリフィンドールにペナルティー・スロー!こんな手口は見たことがありません!」
マダム・フーチが、金切り声を上げながら飛んで行く。
「このゲス野郎!このカス、卑怯者、この...」
ミネルバの手の届かないところへと躍り出ながら、マイクに向かって叫ぶリー。しかし、ミネルバはリーのことを叱るどころではなかった。ミネルバもドラコに向かって拳を振り、帽子を頭から落として、怒り狂って叫んでいたのだ。
アリシアが、ペナルティー・ゴールを狙ったが、怒りで手元が狂い、数フィート外れてしまった。グリフィンドールチームは乱れて集中力を失い、逆にスリザリンチームは、ドラコがハリーに仕掛けた反則技で活気づき、有頂天になった。
「スリザリンの攻撃です。スリザリン、ゴールに向かう...モンタギューが得点...七十対二十でグリフィンドールのリード」
呻いたリー。先程までは、ドラコがハリーをマークしていたが、今度はハリーがドラコをマークする。
「どけよ、ポッター!」
方向転換しようとしてハリーにブロックされたドラコが、イライラして叫ぶ。
「グリフィンドールのアンジェリーナ・ジョンソンが、クァッフルを奪いました。行け、アンジェリーナ。行けーっ!」
ドラコ以外のスリザリン選手は、ゴール・キーパーも含めて全員、アンジェリーナを追って疾走している。