第64章 ハーマイオニーの怒り
休暇が終わった頃には、チーム同士、寮同士の緊張が爆発寸前にまで高まっていた。廊下のあちこちで小競り合いが起こり、ついに一大騒動が起こってしまった。グリフィンドールの4年生と、スリザリンの6年生が耳からネギの芽が飛び出して、医務室行きになる騒ぎになってしまったのだ。
ハリーは、特にひどい目に遭っていた。授業に行く途中では、スリザリン生が足を突き出してハリーを引っ掛けようとした。さらに、クラッブとゴイルが、ハリーの行く先々に突然現れ、ハリーが大勢に取り囲まれているのを見ては、残念そうにのっそりと立ち去って行くのだ。
「ハリーも大変ね」
『そうね』
ちょうどクラッブとゴイルが去っていくのをみていたら、クレアが言った。私も同意する。スリザリン生が、ハリーをつぶそうとするかもしれないと判断したオリバーは、どこに行くにもハリーを一人にしないよう指令を出した。
グリフィンドールは、寮を挙げてこの使命を熱心に受け止めたので、ハリーはいつもわいわいガヤガヤと大勢に取り囲まれてしまい、授業に時間通りに着くことさえできなくなってしまう。でも、ハリーは、自分の身体よりファイアボルトが心配みたいだ。飛行していないときは、個人の保管庫にしっかり仕舞い込み、休み時間になるとグリフィンドール塔に飛んで帰ってしっかりそこにあるかどうか確かめることもしばしばだったのである。
「ちょっと、ユウミ!」
『あら、どうしたの、クレア?』
部屋でくつろいでいた私は、部屋に入ってきたクレアに呼び掛けられた。ミアとエイミーも不思議そうだ。
「聞いたのよ、ハッフルパフの王子様と一緒にいたって。図書館で一緒にいるのを見かけた人もいるわ。それも頻繁に!」
「私、知ってる〜あの背の高いハンサムな人でしょ〜?セドリック・ディゴリーだっけ〜?」
ミアが少し考えてからこう言った。
「もしかして...今年になってから、夕食の後に週に一度どこかに行っていたのって、その人に会うため?」
3人の目がこちらを向く。
『えぇ、そうよ』
「ユウミ、付き合っているの?」
肯定した私に、クレアとミアは驚いたように目を見開いてから、クレアがそう問いかけた。
『まさか、付き合ってないわ。勉強を一緒にしているのよ』
冷静に答えた私だったが、内心ではドキドキしていた。なにかが変わろうとしていた。