第64章 ハーマイオニーの怒り
『知ってるわ。スリザリンが、リーグ戦できっちり200点リードしているから、それ以上の点を取らないといけないのよね?つまり、勝敗はハリーの活躍にかかっているわね。スニッチを掴むことで150点も獲得できるんだもの』
「そうなのよ!勝てるかしら?」
熱をこめたミアの問いに、私は大丈夫と頷く。グリフインドール寮全体が、来るべき試合に取り憑かれていた。グリフィンドールが最後に優勝杯を取ったのは、伝説の人物、チャーリー・ウィーズリー(ロンの二番目の兄)がシーカーだったときだ。
ハリーとドラコの敵意は、いよいよ頂点に達していた。ドラコは、ホグズミードでの泥投げ事件をいまだに根に持っていたのだが、それ以上に、ハリーが処罰を受けずにうまくすり抜けたことで怒り狂っていた。
ハリーは、レイブンクローとの試合でドラコが自分を破滅させようとしたことも忘れてはいなかったが、全校の面前でドラコをやっつけてやると決意したのは、なんといってもバックビークのことらしい。そんなことを考えながら夕食を終えた私は、クレア達と別れて図書館に向かった。
『セドリック』
「やぁ、ユウミ」
穏やかに微笑んだセドリック。今日は、欠かすことなくずっと続いているセドリックとの勉強会なのだ。
「もうすぐで、スリザリンとグリフィンドールの優勝戦だね」
いつもの勉強の合間のお喋り中、セドリックがそう言った。
『えぇ。勝ってほしいわ』
私は、にっこり微笑む。そして、そのまま言葉を続ける。
『セドリック、試験はどう?』
「大丈夫だと思う、たぶん」
『たぶんなの?』
くすっと笑って聞くと、セドリックは眉を下げた。
「自信はないかな」
『セドリックなら、絶対に大丈夫よ』
私が自信を持って言うと、セドリックは優しく笑う。
「ありがとう。ユウミはどう?」
『大丈夫だと思うわ、セドリックのおかげで。セドリックがたくさん教えてくれたから』
そう、ハリーにこの前聞かれた私に余裕があるのは、セドリックのおかげなのだ。セドリックは教え方が上手いためすぐに理解できて、レポートにつまっていると、アドバイスをくれたりした。
「そんなことないよ。ユウミが頑張ってるからさ」
セドリックと微笑みあい、また勉強を始めた。そして、グリフィンドール寮の近くまでまた送ってもらった。