第64章 ハーマイオニーの怒り
「離して!ロン!」
ハーマイオニーが、杖を取り出した。私はそれを見守る。ドラコはあとずさりをし、クラッブとゴイルはまごついて、ドラコの指示を待つ。
「行こう」
ドラコがそう呟くと、3人はたちまち地下牢に続く階段を降り、姿を消した。
「ハーマイオニー!」
びっくりするやら、感動するやらで、また呼び掛けたロン。
「ハリー、クィディッチの優勝戦で、何がなんでもあいつをやっつけて!絶対に、お願いよ。スリザリンが勝ったりしたら、私、とっても我慢できないもの!」
ハーマイオニーが上ずった声で言った。
「もう呪文学の時間だ。早く行かないと」
ロンはまだハーマイオニーを見つめ続けながら促すように言う。私達4人は、急いで大理石の階段を上がり、フリットウィック先生の教室に向かった。
「3人とも、遅刻です!早くお入りなさい。杖を出して。今日は'元気の出る呪文'の練習ですよ。もう2人ずつペアになっていますからね」
ハリーが教室のドアを開けると、フリットウィック先生が咎めるように言った。ハリーとロンは、急いで後ろのほうの机に行く。私は、手を振って合図してくれたクレア達の方に向かう。
そして、カバンを開けてから気づいた。ハーマイオニーが来ないのは、この授業だったのだ。授業が終わって、全員がニコニコしながら昼食を食べに出て行く。元気の出る呪文の余韻でクラス全員が大満足の気分に浸っていたのだ。
「もう、何をしていたの?遅刻をするなんて」
呪文の効果が切れた頃、クレアに問いかけられた。
『うーん、そうね。ちょっと、夢中になっちゃったの』
私は、肩を竦めて答える。それから私は、二人と別れてエイミーと共に占い学の教室にきた。小さなテーブルの一つひとつに、真珠色の霧のようなものが詰まった水晶玉が置かれ、光っている。
『あそこに、座りましょう』
エイミーと一緒に椅子に腰かけた。
「みなさま、こんにちは!」
おなじみの霧の彼方からのような声と共に、トレローニー先生が、いつものように薄暗がりの中から芝居がかった登場の仕方をした。興奮して身震いした、パーバティとラベンダー。二人の顔が、ほの明かるい乳白色の水晶玉の光りに照らし出されていた。
「私、計画しておりましたものより少し早めに水晶玉をお教えすることにしましたの」
隣では、エイミーが退屈そうに話を聞いている。