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愛される少女【HP】

第64章 ハーマイオニーの怒り


シリウス・ブラックの二度目の侵入事件以来、生徒は厳しい安全対策を守らなければならなくなった。そのため、私とハリーとロン、そしてハーマイオニーも、日が暮れてからハグリッドを訪ねるということは不可能になってしまっていた。話が出来るのは、魔法生物飼育学の授業中だけだ。ハグリッドは、判決を受けたショックで放心状態になっていた。

「みんな、俺が悪いんだ。舌がもつれちまって。みんな黒いローブを着込んで座ってて、そんでもって俺はメモをボロボロ落としちまって、ハーマイオニーとユウミ、おまえさん達がせっかく探してくれたいろんなもんの日付は忘れちまうし。そんで、そのあとルシウス・マルフォイが立ち上がって、やつが言い分を喋って、そんで、委員会はあいつに'やれ'と言われた通りに決めたんだ」

「まだ、控訴がある!まだ諦めないで。僕たち、準備してるんだから!」

熱を込めて言ったロン。私達5人は、授業の他の生徒たちと一緒に、城に向かって歩いているところだ。前のほうに、クラッブとゴイルを引き連れたドラコの姿が見える。チラチラと後ろを振り返っては、小バカにしたように笑っていた。

「ロン、そいつは駄目だ。あの委員会は、ルシウス・マルフォイの言いなりだ。俺はただ、ビーキーに残された時間を思いっきり幸せなもんにしてやりたいんだ。俺は、そうしてやらにゃ...」

城の石段まで辿り着いたとき、ハグリッドが悲しそうに言う。そして、身体の向きを変えてハンカチに顔を埋めると、急いで小屋に戻って行った。

「見ろよ、あの泣き虫!あんなに情けないものを、見たことがあるかい。しかも、あいつが僕たちの先生だって!」

ドラコ、クラッブ、ゴイルが、城の扉のすぐ裏側で聞き耳を立てていたようだ。ハリーもロンも怒って、ドラコに向かって行く。しかし、ハーマイオニーのほうが先手を打った。

バシッ!という音と共に、ハーマイオニーが、あらんかぎりの力を込めてドラコの横っ面を叩いたのだ。ドラコはよろめいた。ハリーもロンも、クラッブもゴイルも、びっくり仰天してその場に棒立ちになっている。ハーマイオニーが、もう一度手を上げた。

「ハグリッドのことを情けないだなんて、よくもそんなことを。この汚らわしい悪党...」

「ハーマイオニー!」

ロンがオロオロしながら、ハーマイオニーが振りかぶった手を押さえようとする。

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