第63章 生首事件
「"ホグワーツ校教師、セブルス・スネイプ教授が汝に命ずる。汝の隠せし情報を差し出すべし"!」
セブルスは、杖で地図を強く叩く。すると、まるで見えない手が書いているかのように、何も描かれていない地図の表面に文字が現れた。
'仕掛者ムーニーからスネイプ教授にご挨拶申し上げる。他人事に対する異常なお節介(その大きな鼻を突っ込むこと)はお控えくださるよう、切にお願いいたす次第'
セブルスは、硬直した。ハリーも唖然として文字を見つめた。地図のメッセージはこれでおしまいではなく、最初の文字の下から、またまた文字が現れた。
'仕掛者プロングズもMr.ムーニーに同意し、さらに、申し上げる。スネイプ教授は意地の悪い間抜けである'
文字はまだ続く。
'仕掛者パッドフットは、かくも愚かしき者が教授になれたことに、驚きの意を表するものである'
そして、次が最後だ。
'仕掛者ワームテールがスネイプ教授にお別れを告げるとともに、その薄汚いドロドロの頭を洗うようご忠告申し上げる'
「ふむ...片をつけよう」
セブルスが静かに言った。セブルスは、暖炉に向かって大股に歩き、暖炉の上の瓶からキラキラする粉を一握り掴み取り、炎の中に投げ入れた。
「ルーピン!話がある!」
炎に向かって叫んだセブルス。炎を見つめていると、何か大きな姿が、急回転しながら炎の中に現れた。やがて、ルーピン先生が、暖炉の中から這い上がって来た。くたびれたローブから灰を払い落とす。
「セブルス、呼んだかい?」
穏やかに言ったルーピン先生。
「いかにも。今しがた、ポッターにポケットの中身を出すように言ったところ、こんなものを持っていた」
怒りに顔を歪め机のほうに戻りながら、セブルスが答えた。それからセブルスは羊皮紙を指差す。ムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングズの言葉が、まだ光っている。ルーピン先生は、奇妙な窺い知れない表情を浮かべた。
「これは?」
セブルスが言うが、ルーピン先生はまだ地図を見続けている。
「どうかね?この羊皮紙には、まさに闇の魔術が詰め込まれている。ルーピン、君の専門分野だと拝察するが。ポッターがどこでこんなものを手に入れたと思うかね?」
再びセブルスが促してそう言う。ルーピン先生が顔を上げ、ほんの僅かハリーのほうに視線を送り、黙っているようにと警告した。