第63章 生首事件
「輝かしい、英雄的行為でも想像していたのかね?そうであれば、ご訂正申し上げよう...。君の聖人君子の父上は、友人と一緒に我輩に大いに楽しい悪戯を仕掛けてくださった。それが我輩を死に至らしめるようなものだったが、君の父親が土壇場で弱気になった。君の父親の行為のどこが勇敢なものか。我輩の命を救うと同時に、自分の命運も救ったわけだ。あの悪戯が成功していたら、あいつはホグワーツを追放されていたはずだ」
そこまで言ったセブルスは、黄色い不揃いの歯を剥き出しにして突然吐き棄てるように言った。
「ポッター、ポケットを引っくり返したまえ!」
ハリーは、動かない。
「ポケットを引っくり返したまえ。それともまっすぐ校長の所へ行きたいのか!ポッター、ポケットを裏返すんだ!」
恐怖に凍りついたハリーはゆっくりとゾンコ店の悪戯グッズの買い物袋と忍びの地図を引っ張り出した。セブルスはゾンコ店の袋を摘み上げる。
「ロンに貰いました。ロンが...この前ホグズミードから持って来てくれました...」
「ほう?それ以来ずっと持ち歩いていたというわけだ?とても感動的なことだ...ところでこっちは?」
地図を取り上げたセブルス。
「余った羊皮紙の切れ端です」
ハリーは、何でもないというように肩をすくめる。セブルスは、ハリーを見据えたまま羊皮紙を裏返した。
「こんな古ぼけた切れっ端、当然君には必要ないだろう?我輩が...捨ててもかまわんな?」
セブルスの手が暖炉のほうへ動く。すると、ハリーは慌てて叫ぶ。
「やめて!」
「ほう!これもまた、Mr.ウィーズリーからの大切な贈り物なのかな?それとも、何か別物かね?もしや、手紙かね?透明インクで書かれたとか?それとも、ディメンターの傍を通らずにホグズミードに行ける案内書か?」
細長い鼻の穴をひくつかせたセブルス。私は内心で、当たりと思っていた。ハリーは瞬きをし、セブルスの目が輝く。
「なるほど、なるほど...」
ブツブツ言いながらセブルスは杖を取り出し、地図を机の上に広げた。そして、杖で羊皮紙に触れながら唱える。
「"汝の秘密を顕せ"!」
しかし、何事も起こらない。
「"正体を現せ"!」
鋭く地図突つきながらセブルスが唱えた。しかし、白紙のままだ。ハリーは、落ち着くためなのか深呼吸をした。