第63章 生首事件
「なるほど。魔法省大臣はじめ、誰もかれもが、有名人のハリー・ポッターをシリウス・ブラックから護ろうとしてきた。しかし、有名なハリー・ポッターは、自分自身が法律だとお考えのようだ。一般の輩は、ハリー・ポッターの安全のために勝手に心配すればよい!有名人ハリー・ポッターは、好きな所へ出掛けて、その結果どうなるかなど、おかまいなしというわけだ」
セブルスは、また身体を起こした。ハリーは黙っている。
「ポッター、なんと君の父親に恐ろしくそっくりなことよ。君の父親もとても傲慢だった。少しばかりクィディッチの才能があるからといって、自分が他の者より抜きん出た存在だと考えていたようだ。友人や取り巻きを連れて威張って歩いていた...そっくりで薄気味悪いことよ」
唐突に言ったセブルスの目は、ギラリと光った。
「お父さんは、威張って歩いたりしなかった。僕だって、そんなことしない」
ハリーは思わずなのか声を出す。
「君の父親も、規則を重んじるということを無視した」
優位に立ったセブルスは、顔に悪意をみなぎらせ言葉を続ける。
「規則など、つまらん輩のもので、クィディッチ杯の優勝者のものではないと。はなはだしい思い上がりの...」
「黙れ!」
ハリーは、突然立ち上がった。セブルスの顔は硬直して、暗い目が危険な輝きを帯びる。
「我輩に向かって、何と言ったのかね。ポッター?」
「黙れって言ったんだ、お父さんのことで!僕は、本当のことを知ってるんだ。いいですか?お父さんはあなたの命を救ったんだ!ダンブルドアが教えてくれた!お父さんがいなきゃ、あなたはここにこうしていることさえできなかったんだ!」
叫んだハリー。セブルスの土気色の顔が、腐った牛乳の色のように変わる。
「それで校長は、君の父親がどういう状況で我輩の命を救ったのかも教えてくれたのかね?それとも、校長は、詳細なる話が、大切なポッターの繊細な耳にはあまりに不快だと思し召したかな?」
セブルスは囁くように言った。ハリーは唇をかんだ。
「君が間違った父親像を抱いたままこの場を立ち去ると思うと、ポッター、虫酸が走る。我輩が許さん」
顔を歪め、恐ろしい笑みを浮かべたセブルス。どのような行為だったのか知っている私は、複雑さに顔を歪める。