第63章 生首事件
ミアにもそうした方がいいと言われたため、私は談話室に降りる。少し見渡すとハリーとロン、そしてハーマイオニーの姿が見えた。何を話しているのだろうと近づくとハーマイオニーの声が聞こえてくる。
「ハリー、今度ホグズミードに行ったら...私、マクゴナガル先生にあの地図のことお話しするわ!」
「ハリー、誰かが何か言ってるのが聞こえるかい?」
ロンは、ハーマイオニーを見もせずに唸った。
「ロン。あなた、ハリーを連れて行くなんてどういう神経?シリウス・ブラックがあなたにあんなことをしたあとで!本気よ。私、言うから......」
「そうかい。君はハリーを退学にさせようってわけだ!今学期、こんなに犠牲者を出しても、まだ足りないのか?」
ロンは怒って言う。ハーマイオニーは、口を開いて何か言い掛けたが、そのとき小さな鳴き声を上げ、クルックシャンクスが膝に飛び乗った。
ハーマイオニーは、一瞬どきりとしたようにロンの顔色を窺い、さっとクルックシャンクスを抱きかかえると、急いで私の脇をすり抜けて女子寮のほうに去って行く。
「それで、どうするんだい?行こうよ。この前は、ほとんど何も見てないんだ。ゾンコの店に入ってもいないんだぜ!」
「オッケー。だけど、今度は透明マントを着て行くよ」
ロンはまるで何事も無かったかのようにハリーに尋ね、ハリーは振り返りハーマイオニーが行ってしまったことを確かめてから答えた。それを聞いて、私は二人に近づく。
「どうしたんだ、ユウミ」
シリウスがロンを襲ったときに、何もないとは知っているが心配でロンと話したため、ロンが普通の調子で問いかけてきた。
『私は、ハーマイオニーが正しいと思うわ』
私の言葉に、ロンは思い切り顔をしかめる。ロン程ではないが、ハリーもだ。
「君もかよ!」
『私はマクゴナガル先生に言うつもりはないわ。でもね、ハリー。もし行くのなら、そこで何があってもあなたの責任よ』
「わかってるよ」
ハリーを真っ直ぐ見て言うと、ハリーはそう言った。
『そう、わかっているならいいの。それから、ハーマイオニーはハリーを心配してるのよ。私が言いたいのは、それだけだから』
私は、そのまま掲示板を見ることなく、部屋へと戻った。
土曜日の朝、クレア達と一緒に朝食に下りて行く。
「ねぇ、本当なの?」
クレアが私に問いかける。