第63章 生首事件
学校のふくろうたちが郵便物を運んで大広間に舞い降りて来たのだが、一羽の大きなメンフクロウが、真っ赤な封筒を嘴に咥えてネビルの前に降りて来たのだ。ネビルはほとんど息もできなくなっていた。近くに座っていた私は、すぐに吼えメールだとわかった。
「ネビル、逃げろ!」
忠告するロン。返事を返す余裕もない様子のネビルは、封筒を掴むとまるで爆弾を捧げ持つかのように腕を伸ばして手紙を持ち、全速力で大広間から出て行く。見ていたスリザリンのテーブルからは大爆笑が起こった。
玄関ホールで吼えメールが、けたたましく吼える音が聞こえて来る。ネビルのお祖母さんの声が、魔法で百倍にも拡大され、'なんたる恥さらし。一族の恥'と怒鳴っていた。私はなんとも言えない気持ちだ。だって、ネビルが落としたわけではないのだから。
『ハーマイオニー、本当に大丈夫?』
廊下で見つけたハーマイオニーに、心配になって話しかける。
「えぇ、大丈夫よ。それよりバックビークの裁判の手伝いをしてくれてありがとう」
『それは、私がやりたくてやったのよ。それに、私のせいでもあるから』
「あなたは悪くないわ。ごめんなさい、ユウミ。やらなきゃいけないことがあるから行くわ」
せかせかと行ってしまったハーマイオニーに私は、眉を下げる。勉強の手伝いは断られてしまって、私に出来たことはバックビークの裁判のお手伝いをすることだけだった。ハーマイオニーがしょっちゅう泣いていて、ハグリッドのところによく行っていたのは知っている。それに、ロンのことをとても心配していた。
『ふぅ。今頃ハリーとロンはハグリッドにその話を聞かされてるのよね。早くなんとかなってほしいわ』
「ニャア」
独り言を溢した私は、自分の足元を見る。そこにいたのはクルックシャンクスだ。私は、しゃがみこんで優しく撫でて言う。
『クルックシャンクス。あまり困らせないであげて。ハーマイオニーも...ネビルのことも』
「...ニャー」
クルックシャンクスは、一鳴きして行ってしまった。そのあとは、自分の部屋でのんびりしていた。
「ユウミ!掲示板、見た?」
部屋に興奮したように飛び込んできたのは、ミアだ。
『掲示板?見てないわ。どうかしたの?』
「今度の週末、ホグズミードよ!」
『本当?私も掲示板見てこようかしら』