第62章 グリフィンドール対レイブンクロー
ハリーは弾丸のように素早く上昇した。そして、3度目となるスニッチを見つけたのか、ハリーはスピードをあげる。刻一刻とスニッチに近付いていくハリーだったが、そのとき。
「見て、あれ!」
クレアが一点を指差して叫ぶ。そちらを見ると、ディメンターが3体、頭巾を被った3つの背の高い黒い姿が見えた。ディメンターが、この戦いに現れるとは思わなかったので私は驚く。ハリーは、迷う様子を見せずに手を競技用ローブの首のところから突っ込み、杖を取り出し、大声で叫んだ。
「"エクスペクト・パトローナム(守護霊よ来たれ)"!」
白銀色の何か大きなものが、杖の先から噴き出した。それは、ディメンターを直撃する。ハリーはそれを見ようともせずに、杖を持ったまま手を伸ばして逃げようともがく小さなスニッチ追いかけた。そして、やっと指で包み込んだ。
マダム・フーチのホイッスルが鳴る。ハリーに向かってチーム全員が迫り、次の瞬間ハリーを空中で抱き締めた。その勢いで、ハリーは危うく箒から引き離されそうなってしまう。そして、グリフィンドールは大きな歓声をあげた。私は、クレア達と次々ハグをして喜ぶ。
「よくやった!」
叫びっぱなしのオリバー。アリシアもアンジェリーナもケイティもハリーにキスをした。フレッドはがっちり羽交い絞めにハリーを抱き締めている。上を下への大混乱のまま、チーム全員がなんとか地上に降りた。
大騒ぎのグリフィンドール応援団が、ロンを先頭に、グラウンドに飛び込んでいく。私も小走りで追いかけようとしたが、クレアの顔が怖くなりそうだったため急ぎ足で追いかける。その間にも、あっと言う間に、ハリーはみんなの喜びの声に取り囲まれていた。
「イエー!」
ハリーの手を高々と差し上げたロン。
「よくやってくれた、ハリー!十ガリオン勝った!ペネロピーを探さなくちゃ、失敬...」
大喜びのパーシー。
「良かったなあ、ハリー!」
シューマスが叫んだ。やっと追い付いた私は、ハリーに近づくためにみんなをかきわける。やっとの思いでハリーの側に出てきた私は、聞こえてきた声の主を見る。
「立派なパトローナスだったよ」
それは、混乱したような嬉しそうな複雑な顔をしているルーピン先生だった。
「ディメンターの影響はまったくありませんでした!僕、平気でした!」
ハリーが興奮したように言う。