第62章 グリフィンドール対レイブンクロー
ケイティが初ゴールを決め、クレアとミアも興奮して叫び、観客席のグリフィンドール側からどっと歓声があがった。そのとき、ハリーは急降下した。チョウはハリーの動きを見て、素早く後ろに付けていく。
「ハリーを見て!スニッチを見つけたんだわ!」
ミアが叫ぶ。ハリーは、スピードを上げて急降下する。あと10フィート。そのとき、レイブンクローのビーターが打ったブラッジャーが、ふいにハリーに突進していく。ハリーは、間一髪でブラッジャーを避けたが、進路を逸れてしまう。そのほんの数秒、決定的な数秒のあいだに、スニッチは消え去ってしまった。
「ウオォォォー」
グリフィンドールの応援席からはがっかりした声が上がったが、レイブンクロー側はチームのビーターに拍手喝采をした。ジョージが、腹いせにかもう一個のブラッジャーを、相手チームのビーターめがけて叩き付ける。標的のビーターは、それを避けるのに、空中で一回転した。
「グリフィンドールのリード。八十対○。そして、あのファイアボルトの動きをご覧ください!ポッター選手、あらゆる動きを見せてくれています。どうです、あのターン...チャン選手のコメットはとうてい敵いません。ファイアボルトの精巧なバランスが実に目立ちますね。その長い...」
「ジョーダン!いつからファィアボルトの宣伝係に雇われたのですか?真面目に実況放送を続けなさい!」
レイブンクローが巻き返してきた。3回ゴールを決め、グリフィンドールとの差を50点に縮めてきたのだ。...チョウが、ハリーより先にスニッチを取れば、レイブンクローが上位に立つことになった。ハリーは高度を下げ、必死な様子でフィールドを見渡している。ハリーは、また加速した。しかし、次の瞬間、ふいにチョウが現れて行く手を遮る。
「ハリー、紳士面してる場合じゃないぞ!相手を箒から叩き落とせ。やるときゃやるんだ!」
ハリーが、衝突を避けて急に進路を変えたのを見たオリバーが吼えた。
「本当に上手いね〜」
エイミーの声に、クレアもミアもうんうんと頷く。ハリーはファイアボルトを上に向け、たちまち他の選手たちより二十フィートも上に出た。チョウもあとを追う。自分でスニッチを探すより、ハリーをマークすることに決めたようだ。ハリーはまた急降下する。次にハリーは突然急上昇に転じた。チョウはそのまま急降下して行く。