第62章 グリフィンドール対レイブンクロー
「今日は、風邪をひかないか心配する必要なさそうね」
クレアがこちらを見て言った。
『やだ、クレアったら』
エイミーとミアが笑い、それに釣られるように私とクレアも笑う。観客席につきしばらく話していると、レイブンクローチームが入ってきた。そして、グリフィンドールチームが入ってくる。割れるような拍手が沸き起こった。私も、思い切り手を叩く。
「あの子が、チョウ・チャンね。レイブンクローチームの唯一の女の子だわ」
ミアの言葉に、私も見る。ハリーより頭一つ分小さいらしいチョウ・チャン。やはり、とてもかわいい。ハリーはここでもう惚れていたのだろうか。
「ウッド、デイビス、握手して」
マダム・フーチがキビキビと指示すると、オリバーはレイブンクローのキャプテンと握手をした。
「箒に乗って...ホイッスルの合図を待って...三...二......」
試合開始だ。ハリーは地面を蹴り、他のどの人よりも速く、高く上昇した。それと共に、解説が始まる。解説者は、フレッドとジョージと仲の良い、リーだ。
「全員飛び立ちました。今回の試合での注目は、なんといってもグリフィンドールのハリー・ポッターが乗るファイアボルトでしょう。賢い箒の選び方によれば、ファイアボルトは今年の世界選手権大会ナショナル・チームの公式箒になるとのことです...」
「ジョーダン、試合のほうがどうなっているか解説してくれませんか?」
ミネルバの声が割り込んだ。
「了解です。先生...ちょっと背景説明をしただけです。ところでファイアボルトは、自動ブレーキが組み込まれており、さらに...」
「ジョーダン!」
「オッケー、オッケー。攻撃は、グリフィンドール側です。グリフィンドールのケイティ・ベルがゴールを目指しています...」
ハリーは、ケイティと行き違いになる形で猛スピードで反対方向に飛び、あたりを見回していた。そのすぐ後ろには、チョウ・チャンが付いて来ている。確かに、飛行の名手だ。たびたびハリーの進路を塞ぐように横切り、方向を変えさせたりしている。
「ハリー、チョウに加速力を見せ付けてやれよ!」
フレッドが、ハリーの傍を飛びながら叫んだ。チョウとハリーが、レイブンクローのゴールを廻り込んだとき、ハリーはファイアボルトを加速させ、チョウを振り切った。
「すごい!」
「やったわ!!」