第62章 グリフィンドール対レイブンクロー
翌朝、私はクレア達と大広間に朝食を食べにきていた。ハリーはグリフィンドール寮のテーブルにいて、その周りにはたくさんの生徒が集まっている。グリフィンドールはもちろんハッフルパフやレイブンクローの生徒もいるようだ。
「どうしたのかしら?」
『ファイアボルトよ。みんな見たくて集まってるんだと思うわ』
疑問に思ったらしいクレアに答えて、私達は少し離れた席に座る。セドリックは、ハリーのところにいって、'ニンバス'のかわりにこんな素晴らしい箒を手に入れておめでとうと祝福していた。パーシーのガールフレンドで、レイブンクローのペネロピー・クリアウォーターは、ファイアボルトを手に取ってみてもいいかとハリーに聞いていた。
「おい、おい、ペニー、壊すつもりじゃないだろうな。ペネロピーと僕とで、賭けたんだ。試合の勝敗に金貨で10ガリオン賭けたんだ!」
パーシーが元気よくそう言った。ペネロピーは、ファイアボルトをテーブルに置き、ハリーに礼を言って自分のテーブルに戻っていく。
「ハリー...絶対勝てよ。僕、10ガリオンなんて持ってないんだ...うん、いま行くよ、ペニー!」
パーシーは差し迫っているようにそう囁いてから、あたふたとペネロピーのところへ行った。
「その箒、乗りこなす自信があるのかい、ポッター?」
冷たい、気取った声がする。ドラコが、近くで見ようとハリーのところにやって来たみたいだ。クラッブとゴイルがすぐ後ろに従っている。
「ああ、そう思うよ」
さらりと答えたハリー。
「特殊機能がたくさんあるんだろう?パラシュートが付いてないのが残念だなあ...ディメンターが傍まで来たときのためにね」
ドラコの目が、意地悪く光る。クラッブとゴイルは、クスクス笑った。
「君こそ、もう一本手をくっ付けられないのが残念だな、マルフォイ。そうすれば、その手がスニッチを捕まえてくれるかもしれないのに」
グリフィンドールチームが大声で笑う。ドラコの薄青い目が細くなり、そして、大股で立ち去った。
「ユウミ、行きましょう」
『えぇ』
ミアの問いかけに頷いて、私達はクディッチ競技場に向かう。
「いい天気ね。ハッフルパフ戦の時とは、まるで違うわ」
『本当ね』
私は空を見上げて、クレアに同意した。晴れていて、冷んやりとした日で、弱い風が吹いている。