第61章 亀裂
「やつのもっとも華やかなりし頃だな。ゴイルの指に残りし傷痕よ、スキャバーズの思い出とともに永遠なれ。さあ、さあ、ロン、ホグズミードに行って、新しいネズミを買えよ。めそめそしてて何になる?」
ロンを元気づける最後の手段で、ハリーはレイブンクロー戦を控えたグリフィンドールチームの最後の練習にロンを誘い、練習のあとでファイアボルトに乗ってみたらと言うつもりらしい。ハリーが教えてくれた。
「明日の試合、レイブンクローのシーカー知ってる?」
ミアの問いかけに私は、首を傾げる。私は部屋で、クレア、ミア、エイミーと話をしていたところだ。
「私、知ってるよ〜チョウ・チャンでしょ〜?4年生で、かなりうまいんだよね〜。怪我をしてたみたいだけど、もう治ったんだって〜」
私はその名前に、セドリックを思い出した。次の学年で、セドリックと恋人になる女の子だ。とても可愛い。そう考えたとき、どこか違和感を感じたが気のせいだろう。
『私、図書館に行ってくるわ』
クレア達3人に見送られて、私は部屋を出た。
「ニャオ」
図書館へと向かっていた私は、猫の鳴き声にそちらを見る。そこには、クルックシャンクスがいた。
『あら、クルックシャンクス』
クルックシャンクスは、私にもう一鳴きしてから尻尾を振って歩きだす。不思議に思ったがついていくと、外に出て禁じられた森に近づいていく。少し中に入り、クルックシャンクスは止まって私に向かって鳴いた。
『どうしたの、クルックシャンクス?』
クルックシャンクスの側に寄った私は、息をのんだ。そこには、大きな黒い犬が倒れていたのだ。私は、急いで近寄る。
『どうしたの、この子?病気?』
クルックシャンクスに問いかけると、違うみたいだ。
『...とっても痩せてるわね。もしかしてお腹が減っているの?』
「ニャー」
当たったらしい。
『わかったわ。少し待っててくれるかしら?』
一鳴きしたクルックシャンクスに微笑みかけて、私は急ぎ足である場所に向かう。急いで来たのは、厨房だ。
巨大な銀の器に果物を盛った絵の前に立った私は、その中にある大きな緑色の梨をくすぐった。梨はクスクス笑いながら身をくねり、急に大きな緑色のドアの取っ手に変わる。取っ手を掴み、ドアを開けた。
「お嬢様!お嬢様!いらっしゃいませ!お茶をお出ししましょう!」