第61章 亀裂
「なにを言ってるんだ、ハーマイオニー!」
「クルックシャンクスがスキャバーズを食べてしまったという証拠はないわ!黄褐色の毛はクリスマスからずっとそこにあったのかもしれないじゃない!それにロンは、魔法動物ペットショップでクルックシャンクスがロンの頭に飛び降りたときから、ずっとクルックシャンクスに偏見を持っているじゃない!」
ハーマイオニーは、猛烈にそう主張した。ロンは怒りのあまり、何も言い返せなかった。そこで、ハリーがこう言った。
「でも、ハーマイオニー。状況証拠ではそうなるよ」
それを聞いたハーマイオニーは、ハリーにまで癇癪を起こす。
「いいわよ。ロンに味方しなさい。どうせそうすると思ってたわ!最初はファイアボルト、今度はスキャバーズ。みんな私が悪いってわけね!ほっといて、ハリー。私、とっても忙しいんだから!」
興奮した声で言ったハーマイオニー。さっと荷物をまとめると、部屋へと戻ってしまった。
「だいたい、ハーマイオニーは!クルックシャンクスが、スキャバーズを喰ってしまおうとしているのに、そのことを一度も真剣に考えなかった!猫を見張ろうともしなかった!」
ロンはそう怒った。私は、ロンに感情に任せていろいろ言わないように、拳を握りしめる。ロンとハーマイオニーの友情もこれまでかと思われた。
互いに相手に対してカンカンになっていたので、もう仲直りの見込みが無いのではないかということだ。ハリーはそう思うらしい。ロンはペットのネズミを失ったことで、心底打ちのめされていた。
「元気出せ、ロン。スキャバーズなんてつまんないやつだって、いつも言ってたじゃないか。それに、ここんとこずっと弱ってきてた。一気にいっちまったほうが良かったかもしれないぜ。一呑みさ...きっと何にも感じなかったさ」
フレッドが元気にさせるつもりで言った。
「フレッドったら!」
怒って言ったジニー。
「あいつは、食って寝ることしか知らないって、ロン、おまえそう言ってたじゃないか」
今度は、ジョージがそう言う。
「僕たちのために、一度ゴイルに噛みついた!覚えてるよね、ハリー?」
「うん、そうだったね」
ロンが惨めな声で言い、ハリーが答えた。それを聞いたフレッドが真面目をよそおった顔でこう言おうとしたが、出来なかった。