第60章 守護霊の呪文
「あんなに、たくさんの教科をさ。今朝、ハーマイオニーが数占いのベクトル先生と話してるのを聞いちゃったんだ。昨日の授業のことを話してたんだ。だけど、ハーマイオニーは、昨日その授業に出られるはずないよ。だって、僕たちと一緒に魔法生物飼育学にいたんだから。それに、アーニー・マクミランが言ってたけど、マグル学の授業も休んだことがないって。だけど、そのうち半分は占い学とおんなじ時間なんだぜ。こっちも欠席したりなんかしてないんだぜ!」
私は、誤魔化す必要はなかったみたいだ。なぜなら、ハリーがハーマイオニーの不可解な時間割りの秘密を深く考える余裕などなかったためである。セブルスの宿題を片付けなければならなかったからだ。ハリーに少しのアドバイスをしていると、そこにオリバーがやってきた。
「ハリー、悪い知らせだ。マクゴナガル先生にファイアボルトのことで話をしに行って来たんだ。先生は...その...ちょっと僕に対して機嫌が良くなかった。僕が、本末転倒だって言うんだ。君が生きるか死ぬかより、クィディッチ優勝杯のほうが大事だと思ってるんじゃないかって言われてしまった。僕はただ、先にスニッチを捕まえさえしたら、君が箒から振り落とされたって構わないとは言ったけど」
信じられないというように首を振るオリバー。
「まったく、マクゴナガル先生の怒鳴りようったら...まるで僕が何かひどいことを言ったみたいじゃないか。そこで僕は、あとどのぐらい箒を押さえておくつもりかって先生に聞いてみた...」
オリバーは、顔をしかめて、マクゴナガル先生の厳しい声を真似する。
「'ウッド、必要なだけ長くです'ハリー、こうなったら新しい箒を注文すべき時だな。'賢い箒の選び方'の本の後ろに注文書が付いてるぞ...'ニンバス2001'なんかどうだ。マルフォイと同じやつ」
「マルフォイが良いと思ってるやつなんか、僕、買わない」
ハリーはきっぱり言った。私はまぁ、そうだろうと思う。
『オリバー、きっとマクゴナガル先生ならもう少しで返してくれるわ。これ以上、ひどいことを言ってマクゴナガル先生を怒らせない方がいいわよ』
オリバーは顔をしかめて、それでも怒らせない方がいいというのには納得がいったのか私に頷くと去っていった。