第59章 炎の雷(ファイアボルト)
昨日は、夜更かしをしてしまったため眠いのだ。
「もう起きないとだめだろう?」
『あら、本当だわ。起こしてくれてありがとう』
時計を見て納得した私は、トムにお礼を告げてから届いているプレゼントを開け始めた。プレゼントを見て私は、ハリーがファイアボルトを受けとることを思い出す。
複雑だ。落ち込んでいたハリーが、ファイアボルトを受けとるのは嬉しいが、これでハーマイオニーが悲しい思いをすることになるのだ。複雑な思いのまま、もらったプレゼントを全て開封してから下に行く。
『メリークリスマス、お父さま、お母さま』
「「メリークリスマス」」
お父さまとお母さまと微笑んで挨拶をしあった。それから、お父さまからプレゼントをもらって、ご飯を食べる。
「ユウミ、ディメンターは大丈夫かい?」
『えぇ、大丈夫よ、お父さま。何も問題ないわ』
私は、にっこり笑う。それに安心したような顔をしたお父さまは、思い出したかのように問いかけた。
「ルシウスから、聞いたよ。ヒッポグリフに襲われたドラコを庇って怪我をしたんだって?」
「私も、シシーから聞いたわ。大丈夫なの?」
お父さまもお母さまも心配そうな顔をしている。
『大丈夫よ。すぐに治ったもの』
「ルシウスは、とても怒っていたよ。ドラコが怪我をしたことにもだが、ユウミが怪我をしたことにもね」
お父さまがそう言うと、お母さまも同意してこう言った。
「ユウミのこと、とても可愛がってくれているものね」
『でも、お父さまお母さま。あれはドラコが悪いのよ。ハグリッドもヒッポグリフも悪くないわ』
お父さまもお母さまもどういうことなのか不思議そうにしているので、私は説明する。
「そういうことか。ふむ。ルシウスの話とは少し違うな」
『そういうことなの。だから、ハグリッドもヒッポグリフも悪くないの』
この話は、そこで終わりにしてホグワーツでのことを話した。
あっという間に時間は経ち、もう年が明けて私はホグワーツ特急へと乗っていた。空いているコンパートメントに乗っていた私は、ノックの音に返事をする。
「ここにいたのね!久しぶり、ユウミ!」
『久しぶり、クレア!』
「あら?まだ、二人は来てないの?」
コンパートメントに入ってきたクレアは、私一人しかいないのを見て不思議そうにした。