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愛される少女【HP】

第58章 忍びの地図


そんなミネルバに、ファッジが優しく声をかける。

「さあ、さあ、ミネルバ。ペティグリューは英雄として死んだ。目撃者の証言では...もちろん、そのマグルたちの記憶はあとで消しておいたがね...ペティグリューは、ブラックを追いつめた。彼らは、ペティグリューは泣いていたと言っていた。'リリーとジェームズを。シリウス!よくもこんなことを!'と言っていたそうだ。それから、杖を取り出そうとした。まあ、もちろんブラックのほうが早かった。ペティグリューは、木っ端微塵に吹っ飛ばされてしまった...」

ミネルバは鼻をかみ、かすれた声で言った。

「馬鹿な子...不器用な子...どうしようもなく決闘がへたな子でしたわ...魔法省に任せるべきでした......」

「俺なら、俺がペティグリューのチビより先にブラックと対決してたら、杖なんかモタモタ出さねえぞ...ヤツを取っ掴まえて...バラバラに...八つ裂きに...」

ハグリッドが吠えたが、ファッジは厳しく言った。

「ハグリッド、バカを言うもんじゃない。'魔法警察部隊'から派遣される訓練された'特殊部隊'以外は、追い詰められたブラックに太刀打ちできる者はいなかったろう。私はそのとき、'魔法惨事部'の次官だったので、ブラックがあれだけの人間を殺したあとに現場に到着した第一陣の一人だった。私は、あの...あの光景が忘れられない。今でもときどき夢にみる。道の真ん中がクレーターのように深くえぐれていた。その底のほうで下水管に亀裂が入っていた。死体が累々としていた。マグルたちは、悲鳴をあげていた。そして、ブラックがそこに仁王立ちになって笑っていた。その前にペティグリューの残骸が...血だらけのローブとわずかの...わずかの肉片が」

ファッジの声が突然途切れる。そして、鼻から息をする音が5人分聞こえてきた。ファッジがかすれた低い声で言う。

「さて、そういうことなんだよ、ロスメルタ。ブラックは、'魔法警察部隊'が20人がかりで連行し、ペティグリューは勲一等マーリン勲章を授与された。哀れなお母上にとってはこれが少しは慰めになったことだろう。ブラックは、それ以来ずっとアズカバンに収監されていた」

マダム・ロスメルタは長いため息をついた。

「大臣、ブラックは狂ってるというのは本当ですの?」

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