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愛される少女【HP】

第58章 忍びの地図


ファッジの誘いに、マダム・ロスメルタも席についた。

「それで、大臣、どうしてこんな片田舎にお出ましになりましたの?」

誰か立ち聞きしていないかチェックしている様子で、ファッジは辺りを見る。それから、低い声で言った。

「ほかでもない、シリウス・ブラックの件でね。ハロウィーンの日に学校で何が起こったかは、うすうす聞いているだろうね?」

「噂は確かに耳にしてますわ」

「ハグリッド、あなたはパブ中に触れ回ったのですか?」

マダム・ロスメルタは認める。それを聞いたミネルバは、腹立たしげだ。

「大臣、ブラックがまだこのあたりにいるとお考えですの?」

マダム・ロスメルタが囁くように問う。

「間違いない」

きっぱりと言ったファッジ。

「ディメンターが、私のパブの中を二度も探し廻っていったことをご存じかしら?お客様が怖がって、みんな出て行ってしまいましたわ...大臣、商売あがったりですのよ」

マダム・ロスメルタの声には、少しとげとげしさがある。

「ロスメルタ。私だって君と同じで、連中が好きなわけじゃない。用心に越したことはないんでね...残念だが仕方がない...つい先ほど連中に会った。ダンブルドアに対して猛烈に怒っていてね...ダンブルドアが城の敷地内に連中を入れさせないんだ」

ファッジは決まり悪そうな声を出した。

「そうすべきですわ。あんな恐ろしいものに、うろうろされては、私たち教育ができませんでしょ?」

「まったくもってその通り!」

ミネルバがきっぱりと言い、それにフリットウィック先生がキーキー声で同意する。

「そうなんだが。連中よりもっとタチの悪いものから我々を護るために連中はここにいるんだ...知っての通り、ブラックの力をもってすれば...」

言い返した、ファッジ。

「でもねえ、私にはまだ信じられないですわ。どんな人が闇の側に荷担しようと、シリウス・ブラックだけはそうならないと、私は思ってました...あの人が、まだホグワーツの学生だったときのことを覚えてますわ。もし、あの頃に誰かがブラックがこんなふうになるなんて言ってたら、私きっと、'あなた蜂蜜酒の飲みすぎよ'って言ったと思いますわ」

マダム・ロスメルタが考え深げに言った。

「君は、話の半分しか知らないんだよ、ロスメルタ。ブラックの最悪の行動は、あまり知られていない」

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