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愛される少女【HP】

第57章 静かな場所


おそらく、セドリックが私のお見舞いに来ていたらグリフィンドールのクィディッチの選手と会ってしまっただろう。あの試合のことを考えると、それはあまり良くない。そのため、セドリックが気にすることはないのだ。それからまた勉強を再開した私達は、就寝の時間が迫ってきたため今日は終わりにすることにした。

『いつも教えてもらってばかりで悪いわ。勉強は大丈夫?セドリックは、5年生だからO・W・L試験よね?』

私は片付けをしながら、問いかけた。セドリックは成績優秀な為、いつも私が教えてもらっている。O・W・L試験はとても大変だと知っていたため、少し心配になったのだ。

「そうだよ。でも、そのことは気にしないで。ユウミとの勉強会のおかげで勉強すごく捗ってるから。なにより、教えるともっと深く理解出来るから、逆に助かってるんだ」

セドリックは、私の問いかけに軽く頷いてからそう答えてくれた。3年生の範囲だから、セドリックが私に気を遣わせないようにそう言ってくれたことには気づいた。でも、その気遣いを無駄にしないためにも微笑んでお礼を言う。片付けが終わった私達は、図書館を出る。そして、私は扉の前でいつものように別れの挨拶を告げた。

『じゃあ、セドリック、ありがとう。楽しかったわ。また来週でいいかしら?』

セドリックが肯定したのを聞いて寮に帰ろうとした私を、セドリックが呼び止める。

「ユウミ、待って」

『どうしたの、セドリック?』

「寮の近くまで送っていくよ」

優しく微笑んだセドリック。

『私は、大丈夫よ。気持ちだけ受け取っておくわ。ありがとう』

初めての勉強会の時に断ってから、言われていなかったため少し不思議に思いながらも断る。わざわざ送ってもらうのが申し訳なかったためだ。

「僕が送りたいんだ。シリウス・ブラックのこともあるから心配なんだ。だから、僕に送らせてくれないかな?」

セドリックは、真剣な顔をしている。それを見てにっこり笑って答えた。

『じゃあ、お願いするわ』

そのあと、セドリックにグリフィンドール寮の近くまで送ってもらった。

『セドリック、ありがとう。また来週ね』

「うん、また来週」

セドリックに手を振ってそこで別れる。校内には、ディメンターの影すら見えない。アルバスの怒りがディメンターを持ち場である学校の入口に留めているからだ。

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