第57章 静かな場所
ロンがついに我慢できなくなり、ヌメヌメした大きなワニの心臓をドラコめがけて投げ付けた。それがドラコの顔を直撃したので、セブルスはグリフィンドールから50点減点した。
『あんなの、ドラコが悪いわ!ロンのコントロールに拍手を送りたいもの!』
昼食にきた私は、怒りを爆発させる。
「マルフォイが悪いけど、スネイプ先生じゃね」
「減点されちゃうよね〜」
同じように怒りに顔を歪めながら言ったミアとエイミー。クレアが話を変えたため他の話題にうつった。昼食を食べ終えた私達は、ルーピン先生の授業に向かっていた。
「ルーピン先生、いらっしゃるかしら?」
「またスネイプ先生なら最悪すぎるわ」
クレアとミアの会話を聞きながら教室のドアを覗いた私は、ルーピン先生の顔をみてホッと息をついた。ルーピン先生が復帰していたのだ。本当に病気だったように見える。くたびれたローブが前よりも垂れ下がり、目の下には暗い影ができていた。
それでも、生徒が席につくと、みんなに微笑み掛けた先生。するとみんないっせいに、ルーピン先生が病気のあいだセブルスがどんな態度を取ったか、不平不満を爆発させた。
「まともじゃないですよ。代理だったのに、どうして宿題を出すんですか?」
「僕たち、狼人間について何も知らないのに...」
「......羊皮紙二巻だなんて!」
ルーピン先生は少し顔をしかめてみんなに尋ねる。
「君たち、スネイプ先生にまだそこは習っていないって、そう言わなかったのかい?」
教室中がまたいっせいに喋り出した。
「言いました。でもスネイプ先生は、僕たちがとっても遅れてるって言って...」
「...聞こうとしないんです...」
「...羊皮紙二巻なんです!」
みんなが怒っている顔を見ながら、ルーピン先生はニッコリした。
「よろしい。私からスネイプ先生にお話ししておこう。レポートは書かなくてよろしい」
「そんなあ。私、もう書いちゃったのに!」
がっかりした顔をしたハーマイオニーとこちらをみて驚いた顔のクレアたち。おそらく、レポートが書かなくてよくなると言った私の言葉が本当になって驚いているのだろう。私達は、楽しみながら授業を受けることになった。ルーピン先生は、ガラス箱に入った'ヒンキーパンク(誘き寄せ妖精)'を持って来ていた。