第57章 静かな場所
私は自分の髪の毛を整えながら、尋ねた。
『なにをするの?』
「「聞きたいか?!」」
フレッドとジョージの顔をみて、私はやっぱり言わなくていいわと言う。そして、しばらく世間話をしてから二人は医務室を出ていった。ハリーの方は、ロンとハーマイオニーがハリーのベッドの傍にずっといて、離れるのは夜のあいだだけだった。しかし、それでもハリーはふさぎ込んだままのようだった。
確かハリーは、クィディッチ競技場にいた黒犬姿のシリウスを死神犬だと思って悩んでいたのではなかっただろうか。ハリーは夜、寝ては目覚め、目覚めてはまた断続的に眠りというのを繰り返していた。それにうなされて飛び起きるのだ。
『ハリー、起きてる?』
「...うん」
そっと声をかけた私は、自分のベッドから立ち上がってハリーのベッドの側にきた。
『上手く、眠れないみたいね』
「...僕...」
俯いたハリー。私はハリーの近くの椅子に腰掛けてそんなハリーの頭を優しく撫でる。
「ユウミ?!」
驚いたようにハッと顔をあげたハリーに、私は優しく微笑む。ハリーの頬は少し赤い。私はハリーの手を両手でぎゅっと握った。
『人の温もりがあったら、少しだけ安心しないかしら?私、目が覚めちゃったから』
「...ユウミ...ありがとう」
ハリーとたわいもない話をしていたら、いつの間にかハリーは眠ってしまった。そんなハリーの頭を優しく起こさないように撫でる。私もそのまま眠ってしまったようで起きた時には、ハリーはもう起きていて少し微笑んでこちらを見た。
「さっきよりよく眠れたよ。ありがとう、ユウミ。でもそろそろ戻った方がいいよ。マダム・ポンフリーに怒られちゃうから」
私が怒られて気にするのはハリーだと思い、頷いてから自分のベッドに行った。月曜になってマダム・ポンフリーからOKをもらい、ハリーと一緒に学校のざわめきの中に戻った。
グリフィンドールが負けたことで、我を忘れて有頂天になっていたドラコ。ついに包帯も取り去り、両手が完全に使えるようになったということを祝って、ハリーが箒から落ちる様子を嬉々として真似して見せていた。それを見た私が怒ってからは、私の前ではやらなくなった。しかし、魔法薬学の授業中はほとんどずっと、地下牢教室の中でディメンターの真似をしていた。