第57章 静かな場所
マダム・ポンフリーは、やはり週末いっぱい病棟で安静にしているべきだと私に言った。どうやら、ハリーもらしい。ハリーは、抵抗もせず文句も言わなかった。ただ、マダム・ポンフリーがニンバス2000の残骸を捨てようとしたことだけは、頑なに承知をしなかった。
「もう、だから言ったじゃない。どこが大丈夫だったのかしらね?」
日曜日の朝、お見舞いに来てくれたクレアが言う。
「まぁ、クレア落ち着いて」
「そうそう〜ユウミもわかってるって〜」
一緒に来てくれたミアとエイミーが、クレアに言った。
『クレア、心配してくれてありがとう。もちろん、ミアとエイミーもね』
にっこり笑うと、クレアは仕方ないなぁと許してくれた。クレア達はしばらく話してから、医務室をでていった。あまりここにいると、マダム・ポンフリーが怖いのだ。ハリーの方は、昨日私が寝ている間に見舞い客が次々にやって来てたみたいだ。
みんなハリーを慰めようと一生懸命だった。ハグリッドは、黄色いキャベツのような形をした虫だらけの花をどっさり送ってきて、ジニーは顔を真っ赤にしながら、お手製の'良くなってください'カードを持ってやって来たらしい。そのカードは、果物の入ったボウルの下に敷いて閉じておかないかぎり、甲高い声で歌い続けるものだった。
「元気か、ユウミ!」
「大丈夫か?」
クレア達より少し遅くグリフィンドールの選手たちが、ハリーのところに今度はオリバーを連れてやって来ていた。オリバーは、ハリーのことを少しも責めるようなことはしないと、元気のない虚ろな声で言った。その後に、フレッドとジョージがこっちにやってきて私に声をかけたのだ。
『えぇ、元気よ。お見舞いに来てくれたの?』
「「あぁ!心配だったからな!」」
『ハリーのついでに...ね』
私がわざと落ち込んだような悲しそうな表情をすると、フレッドとジョージは慌て出していろいろな言い訳を並べ立てた。途中までは我慢していたが、我慢しきれずに噴き出して私はこう言う。
『冗談よ』
フレッドとジョージは顔を見合わせてから、笑みを浮かべて、仕返しなのか私の頭をぐちゃぐちゃに撫でた。
『ちょっと、髪の毛ぐちゃぐちゃになったじゃない!』
「俺達をからかって、これだけですむなんて安いほうさ!」
「そうさ、他のやつなら何をしてやることか!」