第56章 恐怖の敗北
「みて、あれ!!」
誰かの叫び声にグラウンドを見る。何かがうごめいていた。少なくとも、百体のディメンターがグラウンドに姿を現したのだ。そのディメンター達はみんな上を見ている。次の瞬間、誰かが悲鳴をあげすぐにみんなの視線はそちらにいった。
「キャーーー!!!」
誰かが上から猛スピードで落ちてきている。私にはわかった、ハリーだ。それを見たからだろう。アルバスが、グラウンドに駆け込んできて杖を振った。
そうすると、ハリーが地面にぶつかる前に、少しスピードが遅くなった。そして、アルバスは杖をディメンターに向けて、守護霊の呪文で追い払った。それからすぐに担架を出すと、ハリーをその上に乗せてアルバスはいなくなる。
「まさか、死んでないわよね?」
『大丈夫よ、そんなはずないわ』
クレアに答えてから、グラウンドを見た。グラウンドでは、セドリックがマダム・フーチに試合をやり直すように求めていた。セドリックは何が起きているか気づかず、ハリーが落ちた直後にスニッチを取ったのだ。
振り返って地面に落ちているハリーを見て、何が起こったのかわかったのか中止を求めた。しかし、その要求は通らない。あのオリバーでさえも、フェアに正当にハッフルパフチームが勝ったと認めたからだ。
「寒いわ、早く戻りましょう!」
ミアの問いかけに頷くクレアとエイミー。ホグワーツへと戻ってきた私は、部屋に戻るというクレア達とそこで別れて医務室へとやってきた。
ハリーのベッドの周りには、グリフィンドールのクィディッチ選手が頭から足の先まで泥まみれになったままで、ベッドの周囲に集まっている。私は声をかけようとしたが、それは出来なかった。
「まぁ!マーレイ!あなた、自分のことをわかっているの?!そんな、びしょ濡れになって!」
なぜなら、マダム・ポンフリーにすごい勢いで怒られたからだ。
『あー、ハリーのお見舞いに...』
「何を言ってるんです!着替えてから、もう一度おいでなさい!必ずですよ!」
私はマダム・ポンフリーに大人しく従い、引き返してグリフィンドール寮の部屋まで行った。部屋に入ると、中にいたクレア達に不思議そうに見られたため軽く説明をする。
「マダム・ポンフリーの言うとおりだわ」
クレアに苦笑いをして、ささっとシャワーを浴びて着替えた。そして、もう一度医務室へとやってきた。