第56章 恐怖の敗北
私はそう言って俯く。そんな私の頭の上に、何かがのった。顔をあげると、セドリックが私の頭を撫でていた。
「情けなく思わなくていいと思うな。ユウミは、頑張りすぎるから。そういうときがあってもいいんだよ」
しばらくセドリックと話してて落ち着いた私は、話が切れたところで笑みを浮かべる。
『ありがとう、セドリック。元気出たわ』
「良かった」
柔らかく微笑んだセドリック。
『あ、用事とか大丈夫だった?』
「うん、大丈夫だよ」
『明日、試合よね?頑張ってね』
思い出した私はセドリックに声をかける。セドリックはそれに、目を丸くした。
「僕を応援してくれるの?明日はグリフィンドールとの試合だよ」
『えぇ。ハッフルパフじゃなくて、セドリックの応援よ』
にっこり笑うと、セドリックは微笑みお礼を言った。そこで空き教室を出た私は、セドリックにもう一度お礼を言ってそこで別れた。部屋へと戻った私は、それを待っていたかのようなクレアに問いかけられる。
「ユウミ!どこ行ってたの?部屋に戻ってると思ってたから驚いたわ!」
『ごめんなさい、クレア』
申し訳なくて謝ると、クレアは私の表情を見てホッと息をついた。
「良かった。落ち込んでるかと思ったわ。もう大丈夫そうね?」
『えぇ。心配かけて、ごめんなさい』
クレアは微笑んだ。
「聞いてよ、ユウミ!スネイプ先生ったら、宿題を出したんだけど、羊皮紙二巻の上に月曜の朝までですって!ありえないわ」
ミアが大きな声で怒っている。
『あら、それは嫌ね。どんなこと書けばいいの?』
「狼人間の見分け方と殺し方よ」
私はクレアが答えてくれた内容に眉を顰めた。ミアはエイミーに向かって文句をまだ言っている。しかし、ここで思い出した。
『ミア、いいこと教えてあげるわ。この宿題、やらなくていいと思うわよ。たぶん、出さなくてよくなるから』
「どうして、そんなことわかるの〜?」
『ふふ、占いよ』
悪戯気に笑った私にミアが笑い、それにつられてクレアとエイミーも笑いだしたのだった。