第54章 ホグズミード
『これから、夕食?』
「あぁ。ユウミは?」
『私もよ。一緒に行きましょう?』
頷いたドラコと共に歩き出す。
『一人でいるの珍しいわね。クラッブとゴイルは?』
「いつもあいつらといるわけじゃない。君もそうだろう?」
心外だというようなドラコ。
『そうよね。ねぇ、ドラコ。ルシウスさん、魔法省に訴えたの?』
「あぁ。僕も君も怪我したんだ!当然のことだ」
私の問いに、ドラコは強い口調で答えた。
『でも、ドラコ。あれはあなたがハグリッドからの注意を聞いていなかったからよ』
ドラコはぐっと言葉に詰まる。そして、小声でこう言った。
「もう遅い。父上は、魔法省に訴えた。僕が何を言っても、もう遅いんだ」
私はドラコがそう言ったことに驚く。ドラコは、あいつらが悪いとそう言い張ると思ったからだ。
『遅いって?』
「父上は、僕とユウミが怪我をしたことにとても怒っていた。君なら、わかるだろう?」
今度、言葉に詰まったのは私だ。幼なじみであるドラコ。そのドラコの父親であるルシウスさんには小さい頃から可愛がってもらっていた。それは今も変わらない。そのルシウスさんに伝わってしまったら、どうにもならないというドラコの言い分もわかる気がする。
『...そうね。ドラコがわかっているなら、私はそれでいいわ。じゃあ、私はあっちだから行くわね』
ちょうど大広間についた私は、ドラコにそう言いグリフィンドールのテーブルに向かった。バックビークは助かるのだ。ドラコが自分の不注意だとわかっているなら、これでいいのかもしれない。私に向かって手を振るクレア達3人に、私も手を振り返してそちらに向かった。
『スネイプ先生のところで、縮み薬作ってきたわ』
「あら、今日だったの?」
席についた私が言ったことに驚いたように、ミアが聞き返した。
『いいえ。怪我が治ったから、行ったら作ることになったのよ。勉強してて良かったわ』
「良かったわね。でも、ユウミまだ治ってないでしょう?」
クレアが、私の包帯を見てそう言う。
『治ってるわ。スネイプ先生と同じこと言ってるわ』
「スネイプ先生と?」
『えぇ。もう痛みはないのよ。跡がまだあるから、女の子なんだから気になるでしょうって言ってマダム・ポンフリーが巻いてくれたの』
私は自分の怪我の話をこれで終わらせた。