第54章 ホグズミード
『本当?嬉しいわ、楽しみね!みんなは他の人と約束した?』
「私は、4人で行くと思っていたわ」
クレアに同意するように二人も頷く。
『そう、良かったわ。私もそのつもりだったから。じゃあ、4人で行きましょう』
翌日、薬草学の時間。私達は、4人でパッファポッド(花咲き豆)の作業をしている。豆の木からふっくらしたピンクの鞘をむしり取り、中からつやつやした豆を押し出して桶に入れる作業だ。近くでやっているハリー達を見ると、ロンはほとんどハーマイオニーと口を利いていなかった。
「スキャバーズはどう?」
ハーマイオニーがおずおずと尋ねる。
「隠れてるよ。僕のベッドの奥で、震えながらね」
ロンは腹を立てていたのか豆が桶に入らず、温室の床に散らばってしまった。
「気を付けて、ウィーズリー。気を付けなさい!」
スプラウト先生が叫ぶ。豆はみんなの目の前で花を咲かせはじめた。
『ロンはどうしてあんなに機嫌が悪いの?』
私は、ロンとハーマイオニーに聞こえないようにこそっとハリーに聞く。
「昨日の夜、クルックシャンクスがスキャバーズを襲ったんだ」
『あぁ...そういうことね...ありがとう、ハリー』
スキャバーズの正体を知っている私からすると、クルックシャンクスは賢い子なのだ。しかし、ロンからしたら可愛がっているペットなのだから、たまったものではないだろう。
「次は、変身術の授業ね」
『行きましょう』
クレアに返事をして、私は変身術の教室に向かった。私達は、教室の外に並んだ生徒に続いて待っている。ハリー達は後ろの方にいるみたいだ。
突然、列の前のほうが騒がしくなり、クレア達と顔を見合わせてからそっちを見た。どうやら、ラベンダーが泣いてるみたいだ。パーバティが抱きかかえるようにして、シェーマスとディーンに何か説明している。2人とも深刻な表情で聞いていた。
「ラベンダー、どうしたの?」
ハリーやロンと一緒に騒ぎの輪の中に入りながら、ハーマイオニーが心配そうに尋ねる。私も、同じように騒ぎの輪の中に入った。
「今朝、家から手紙が来たの。ラベンダーのウサギのビンキー、狐に殺されちゃったんだって」
パーバティが小声で言う。
「まあ。ラベンダー、かわいそうに」
「私、予知しなければいけなかったのよ!今日が何日か、知ってる?」
悲劇的に言ったラベンダー。