第54章 ホグズミード
しかし、パーバティとラベンダーは、昼食時に先生の塔に入り浸りになっていた。そしてみんなが知らないことを知ってるわよ、とばかりに、鼻持ちならない得意顔で戻って来るのだ。
さらにこの2人は、まるで臨終の床についている人に話すように、ヒソヒソ声でハリーに話し掛けるようになった。魔法生物飼育学の授業は最初の授業に対する処置があったあと、とてつもなくつまらないものになり、誰も心から好きにはなれなくなっていた。ハグリッドは自信を失ってしまったようなのだ。
「'フロバーワーム(レタス食い虫)'っていう生き物の世話を学ぶことになったんだけど、こんなにつまらない生き物はほかにはないと思えるような生き物なのよ」
魔法生物飼育学を取っていないミアに説明したクレア。
「どんな世話をするの?」
『フロバーワームのぬらりとした喉に、刻みレタスを押し込むだけよ』
私は自分の怪我が原因のため罪悪感を感じていたが、もうどうすることも出来ない。
10月に入ったある日、夕食を食べ終わった私は図書館に向かっていた。セドリックとの約束の勉強会の曜日なのだ。
図書館に入った私は、まだセドリックが来ていないのを見てセドリックにわかりやすい入り口のところに腰かけて本を読み始めた。勉強はセドリックが来てからしようと思ったからだ。少しして顔をあげた私は、顔を驚きに染める。
『セドリック!いつからいたの?気づかなかったわ』
驚いた私は思わず叫んでしまったが、すぐに自分のいる場所を思い出して小さな声で問いかけた。
「少し前だよ。ユウミがとても集中しているようだから、声をかけなかったんだ。遅くなってごめんね」
『私が少し早く着きすぎただけよ、気にしないで』
すまなそうな顔で謝ったセドリックにそう言い、さっそく勉強を始める。
『あ、ねぇセドリック?古代ルーン文字なんだけど、ここわかる?』
「そこは、こうだよ」
古代ルーン文字の課題でわからないところをセドリックに聞くと、とても丁寧に教えてくれた。しばらくセドリックと勉強をしていた私は、少し疲れたなと思って顔をあげる。
「疲れた?少し休憩しようか」
それに気づいたのか、セドリックは顔をあげて優しく微笑む。
『ありがとう。10月に入ったから、もうすぐクィディッチ・シーズンね。そうだわ、セドリック、キャプテンになったって本当?』