第54章 ホグズミード
闇の魔法に対する防衛術は、たちまちほとんど全生徒の一番人気の授業になった。ドラコと、その取り巻きのスリザリンの生徒だけは、ルーピン先生のあら探しをしていた。
しかし、ルーピン先生のローブが継ぎはぎだろうと、ボロだろうと、他には誰一人として気にする者はいない。2回目からの授業も、最初と同じように面白いものだった。
「'レッド・キャップ(赤帽鬼)'ってなんだったかしら?」
『レッド・キャップは、血の匂いのするところならどこにでも潜んで、城の地下牢とか、戦場跡の深い穴などに隠れて、道に迷った者を待ち伏せて棍棒で殴ったりする汚くて小さな'ゴブリン'に似た性悪な生き物よ』
「すごいわ!よく覚えていたわね」
ミアの疑問に答えると、クレアに感心される。レッド・キャップは、ボガートの次にやった生き物だ。
『そんなことないわ。クレア、河童は覚えてる?』
河童は、レッド・キャップの次にやった生き物。
「覚えてるわ!何も知らずに池の浅瀬などを渡る者を、水中に引っ張り込み、水掻きのある手で絞め殺したりする、見た目には鱗のある猿のようで、水に住む気味の悪い生き物...だったわよね?」
『そうよ』
私は、クレア達お馴染みのメンバーと一緒に今までの闇の魔法に対する防衛術の復習をしていた。そして、ミアがひそひそ声になってこう言う。
「ネビル、大変そうよね。魔法薬の授業は最悪だわ」
クレアとエイミーも同意するように頷く。それも仕方ないだろう。セブルスが、この頃ますます復讐的な感情をあらわにしていたからだ。理由は、はっきりしている。
ボガートがセブルス自身の姿になり、ネビルがそれにお祖母さんの服をこんなふうに着せた、という話が学校中にまたたく間に広がっていたからだった。ルーピン先生の名前が出ただけで、セブルスの目は脅すように光り、ネビル苛めは一層酷くなってしまったのだった。
「でも〜ハリーも大変そうだよ〜」
『そうね、私もそう思うわ』
占い学を取っているエイミーと私の言葉に、取ってない2人が首を傾げる。
「トレローニー先生が〜ハリーを見るたびに、目に涙をいっぱい浮かべるんだよ〜ハリーは無視してるけどね〜」
エイミーの説明に私もそうそうと頷く。生徒の中には、先生を崇拝に近い敬意で崇める者もたくさんいたが、私はトレローニー先生のことを好きにはなれそうにない。