第53章 まね妖怪
しかし急にルーピン先生が叫び、急いで前に出て来た。またパチン!と音がなり、足なし蜘蛛が消える。みんな、キョロキョロと見回す。すると、銀白色の玉がルーピン先生の前に浮かんでいるのが見えた。
「"リディクラス"!」
ルーピン先生は、もう良いだろうと言うように唱えた。パチン!とボガートがゴキブリになって床に落ちたところでルーピン先生が叫んだ。
「ネビル!前へ!やっつけるんだ!」
パチン!とボガートが、スネイプ先生に戻る。ネビルは、今度は決然とした表情で前に出た。
「"リディクラス"!」
ネビルが叫ぶと、ほんの一瞬、レース飾りのドレスを着たスネイプ先生の姿が見えた。しかしネビルが大声でハハハー笑うと、ボガートは破裂し何千という細い煙の筋になって消え去ってしまった。全員が拍手する中、ルーピン先生が大声を出す。
「よくやった!ネビル、良く出来た。みんな、よくやった。そうだな...ボガートと対決した生徒1人に付き5点をあげよう...ネビルは10点だ。2回やったからね、ハーマイオニーとハリーも5点ずつだ」
「でも、僕、何もしませんでした」
「ハリー、君とハーマイオニーは授業の最初に、私の質問に正しく答えてくれた」
ルーピン先生はハリーにさりげなく答えた。
「よーし、みんな、いい授業だった。宿題だ。ボガートに関する章を読んで、まとめを提出するように...月曜までだ。今日はこれでおしまい」
みんな興奮して、喋りながら教員室を出ていく。
「ユウミ、行かないの〜?」
『今、行くわ!』
ボーッとしていた私に声がかけられたため、急いで返事をする。
「あぁ、ちょっと待って。ユウミ、少し話したいことがあるんだ」
しかし、その前にルーピン先生に引き止められてしまった。面識がなかった私は、内心不思議に思いながらクレア達に先に行くように頼んだ。
『えっと、ルーピン先生?』
「突然、すまないね。ご両親は元気かい?」
私はそれに少し驚きつつも返事をする。
『はい、元気です。お父さまとお母さまを知っているんですか?』
「あぁ、知っているよ。特に君のお父さんをね。学生時代、君のお父さんは私の3つ年上で同じ寮だったんだ。私もグリフィンドールだったんだよ」
『そうだったんですね。お父さまに言ったら喜ぶと思います。手紙に書いてもいいですか?』