第6章 組分け帽子
「ポッター・ハリー」
その名が呼ばれると少しざわざわしていた大広間も、みんなが息を潜めるように静まり返った。みんながあの有名な男の子に釘付けになって見ているのだ。前に進み出て帽子を被ったが、何分経っても組分け帽子はなにも言わずにいた。きっと記憶にあるようなやりとりをしているのだろうと思いながら見ていると、しばらくしてやっと組分け帽子が口を開いた。
「グリフィンドォォォール!!!」
ひときわ大きな声が響き渡り、一瞬の沈黙の後にグリフィンドールから大きな歓声が響き渡る。
「「ポッターを取った!ポッターを取った!」」
双子ははしゃぎながら、歓迎をしていた。そして組分けの儀式が終わった。ダンブルドア先生の言葉と共に食事が目の前に現れ、初めて見た新入生は目を輝かせていた。かくいう私もそのうちの1人だった。しかし、ここで1つの問題が発生していた。
「ユウミ、食べないの?」
クレアが自分の料理を取り終えても、なにも取ろうとしない私に向かって不思議そうに聞いてきた。しかし、先程ホグワーツに向かって歩いていたときに襲っていた体調不良が、組分けが終わり緊張が取れたからか襲ってきていた。クレアに答えようとしたが、これはまずいなと思った瞬間にはもう遅く、私の意識はブラックアウトしていた。
「キャーーー!」
1人の女生徒の悲鳴に大広間は静まり返り、そちらを見た生徒たちはざわざわと騒ぎだした。
「女の子が倒れている!」
「どうして?」
ざわざわとみんなが話し出すなか、ユウミと仲のよい人たちが動き出す前に1人の人物がユウミに急ぎ足で近寄っていた。その人物を見て、シーンとまた大広間は静まり返ることになった。いや、ひそひそと話す上級生の声を除いてである。その人物はユウミの近くにしゃがむと顔色を見て、しばらくするとユウミを抱き上げた。いわゆる、お姫様だっこというものであった。
「落ち着け。マーレイは我輩が医務室に連れていく。ここの校医は優秀であるから心配はない」
その人物、スネイプは隣にいたクレアに早口で言うと、医務室に向かった。スネイプがいなくなったあとはざわざわと騒がしくなったが、ダンブルドアの声でそれもおさまり宴の続きが始まった。