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愛される少女【HP】

第52章 トレバー


私は結局、ハリーとドラコが気になって上手く薬が進んでいない。

「君は、たぶん危ないことはしたくないんだろうなあ。ディメンターに任せておきたいんだろう?僕だったら、復讐してやるね。僕なら、自分でブラックを追い詰める」

「いったい何のことだ?」

ドラコにハリーが怒って問いかけたとき、セブルスの声が聞こえてきた。

「材料はもう全部加えたはずだ。この薬は、服用する前に煮込まねばならない。煮込んでいるあいだ、あと片付けをしておくように。あとでロングボトムの薬を試すことにする...」

私はまだ出来ていない薬を見て、困ってしまう。この授業の間には終わらなそうだ。他の人は片付けを始めている。

「マーレイ、残りなさい」

『...はい』

こちらに来て言ったセブルスに、少し落ち込んだまま返事をした。片付ける必要がなくなった私は、ネビルの方を見る。ハーマイオニーがセブルスに気付かれないよう、唇を動かさないようにしてネビルに指示を与えていた。

あれなら減点はされるかもしれないが、ネビルのヒキガエルは無事だろう。授業が終わりに近づいたので、セブルスが大鍋の傍で縮こまっているネビルのほうへと大股で近付く。

「諸君、ここに集まりたまえ。ロングボトムのヒキガエルがどうなるか、よく見たまえ。なんとか、'縮み薬'が出来上がっていれば、ヒキガエルはおたまじゃくしになる。もし、作り方を間違えていれば...我輩は間違いなくこっちのほうだと思うが...ヒキガエルは毒にやられるはずだ」

グリフィンドール生はこわごわ見守り、スリザリン生は嬉々として見物している。セブルスはヒキガエルのトレバーを左手で摘み上げ、小さいスプーンをネビルの大鍋に突っ込んだ。

そのときの水薬は緑色に変わっていた。セブルスは、2、3滴トレバーの喉に流し込む。一瞬、あたりがシーンとなった。トレバーはゴクリと飲んだ。すると、ポンと軽い音がしておたまじゃくしになったトレバーがセブルスの手の中で身体をクネらせていた。

グリフィンドールの生徒は拍手喝采だ。セブルスは、おもしろくないという顔でローブのポケットから小瓶を取り出し、2、3滴トレバーに落とした。すると、トレバーは突然元のカエルの姿に戻った。

「グリフィンドール、5点減点」

セブルスのその言葉と共に、みんなの顔から笑いが消える。

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