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愛される少女【HP】

第52章 トレバー


「オレンジ色か、ロングボトム」

突然聞こえてきた声に、そちらを見る。すると、明るい黄緑色になるはずだった水薬がオレンジ色になってしまっているネビルの薬が見えた。セブルスが薬を柄杓で大鍋からすくい上げ、それを上からタラタラと垂らし入れて、みんなに見えるようにしたからだ。

「オレンジ色。君、教えていただきたいものだが、君の分厚い頭骸骨を突き抜けて入っていくものがあるのかね?我輩は、はっきり言ったはずだ。ネズミの脾臓は一つでいいと。聞こえなかったのか?ヒルの汁はほんの少しでいいと、明確に言ったはずだが?ロングボトム、いったい我輩はどうすれば君に理解して貰えるのかな?」

ネビルは、赤くなって小刻みに震えてしまっている。今にも涙をこぼしそうだ。

「先生、お願いです。先生、私に手伝わせてください。ネビルにちゃんと直させます」

「君にでしゃばるよう頼んだ覚えはないがね、Ms.グレンジャー」

セブルスは冷たくハーマイオニーに言い放ち、ハーマイオニーはネビルと同じくらい赤くなってしまう。

「ロングボトム、この授業の最後にこの薬を君のヒキガエルに数滴飲ませて、どうなるか見てみることにする。そうすれば、たぶん君もまともにやろうという気になるだろう」

恐怖で息もできないネビルを残し、セブルスはその場を離れた。ネビルはすぐにハーマイオニーに呻くように頼んだ。

「おい、ハリー。聞いたか?今朝の日刊予言者新聞...シリウス・ブラックが目撃されたって書いてあったよ」

シェーマス・フィネガンが、ハリーの真鍮の台秤を借りようとして身体を乗り出してそう言ったのが聞こえてきた。シェーマスによると、ここから遠くないところでマグルが目撃したらしい。

「ポッター、一人でブラックを捕まえようって思ってるのか?」

今度は、身を乗り出してドラコがハリーに言う。

「そうだ、その通りだ」

ハリーは無造作に答える。

「言うまでもないけど...僕だったら、もうすでに何かやってるだろうなあ。真面目ぶって、学校にじっとしてたりしない。ブラックを探しに出掛けるだろうなあ」

「マルフォイ、いったい何が言いたいんだ?」

落ち着きはらったドラコに、ロンが乱暴に言う。

「ポッター、知らないのか?」

ドラコは、薄青い目を細めて囁くように言った。

「なにを?」

嘲けるように低く笑ったドラコ。

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