第52章 トレバー
結局、私が授業に出れるようになったのは木曜日の、スリザリンとグリフィンドール合同の魔法薬学の授業だった。
『もう、マダム・ポンフリーは少し心配しすぎよ。遅刻だわ』
マダム・ポンフリーの確認がすごく念入りだったため、もう既に授業は始まってしまっているのだ。マダム・ポンフリーは、私が体調不良や痛みを我慢してしまうからと私の大丈夫を信用していない。でも私は我慢しているつもりはない、本当に大丈夫なのだ。しかし、そう思っているのはマダム・ポンフリーだけではないみたいである。
「君が、我慢するからだろう」
一緒に授業に向かっているドラコにそう言われてしまう。
『あら、我慢しているつもりないわ。それにこれも大袈裟よ。もう治ってるのに』
私はドラコに言葉を返してから、包帯を巻いて吊るされている自分の腕を見て言った。
「...まだ傷が残っているんだろう?それは治ったと言わない」
気まずそうに申し訳なさそうにドラコが言う。それを聞いて私はなんでもないというように答えた。
『ドラコ、気にしなくていいのよ。それより、私はその包帯の方を気にしてほしいわね』
チラッと私と同じように包帯を巻いて吊るされているドラコの腕を見る。ドラコからの答えを聞く前に地下牢教室についてしまった。教室に入っていくドラコの後ろについていく。
「ドラコ、どう?ひどく痛むの?」
ドラコとよく一緒にいるパンジー・パーキンソンが取って付けたような笑顔で問いかけた。
「ああ」
答えたドラコは、勇敢にも耐えているといったように顔をしかめる。しかし、パンジーがむこうを向いた途端、ドラコがクラッブとゴイルにウィンクしたのを私は見た。
「二人とも座りたまえ、さあ」
セブルスは私達二人に、何事も無かったかのように言う。私は軽くため息をついてから、席を空けてくれたクレアの隣に腰かける。
「大丈夫、ユウミ?」
『大丈夫よ、クレア。今日は何をしているの?』
「縮み薬よ」
私達は、材料を準備して作り始めた。そのときだ。隣のテーブルにいるドラコがセブルスに呼び掛けた。
「先生。先生、僕、雛菊の根を刻むのを手伝って貰わないと、こんな腕なので...」
「ウィーズリー、マルフォイの根を切ってやりたまえ」
セブルスは目も合わさずに言う。ロンの顔が、赤レンガのような色になった。